第五章「奇襲」

そして、救助された米兵たちには二つの選択肢が用意された。

一つは、米国に帰還する。

もう一つは、日本に残り日本で過ごす。

米軍兵士は悩んだ、このまま日本に居ても良いが

それでは自分達が何をされるか分からない。

だが、アメリカに戻れば戦犯としてひどい扱いを受けることは目に見えていた。

そして、兵士たちが出した答えは、「」だった。

しかし、兵士たちは一つだけ不安を抱えていたそれは、「」である。一体どんな扱いを受けるのか、それか強制収容所のようなところに入れられてしまうのか?兵士たちはビクビクしながら今後、自分たちがどうなるのか言い渡されるのを待っていた。

そんな米兵のところへ一人の男が現れた。

日本国首相の「舞鶴まいづる 剣太郎けんたろう」である。

米兵たちが一時的に生活している部屋のドアが鳴る。コンコン。


 舞鶴首相「失礼します」


 米兵たち「貴方は?」


 舞鶴首相「日本国首相の舞鶴と申します。あなた方の国で言うところの

      大統領です」


 米兵たち「こ、これは失礼しました!」


 舞鶴首相「いえいえ、大丈夫です。ささ、お座りください」


 米兵たち「では、失礼して」


 舞鶴首相「今日はあなた方に伝えたいことがあって来ました」


 米兵たち「伝えたいこと…ですか…」


 舞鶴首相「貴方たちの今度の生活、扱い、職場などについてお話に来ました」


 米兵たち「私たちの扱いですか、一体私たちはどういった扱いを受けるのです?」


 舞鶴首相「安心してください、我が国では捕虜のような扱いは致しません」


 米兵たち「なぜですか?我々は敵同士。敵の兵士など捕虜にして

      色々と聞き出して最後には死刑にするのが普通では?」


 舞鶴首相「確かに、他の国だったらそうかもしれません。

      しかし、我が国ではそのような扱いは無礼に当たるとして

      皆様を来国者のように丁重にもてなしなさいと昔から言われて

      います」


 米兵たち「来国者のように…ですか…」


 舞鶴首相「ええ。ですからひどい扱いなどはありません。

      むしろ丁重に扱います」


 米兵たち「その言葉が聞けてほっとしました」


 舞鶴首相「それで、そのほかの点なんですが、まず生活です。

      生活については皆様が望む生活を提供させていただきます」


 米兵たち「そんなに贅沢なことを!?」


 舞鶴首相「問題ないです。ほとんどの国民にも同じ扱いをしていますか

      ら大丈夫です」


 米兵たち「そ、そうですか…」


 舞鶴首相「次に仕事です。皆さん我が国ではどのように暮らしたいですか?」


 米兵たち「私は、好きな仕事をしながらのんびり暮らしたいです」

     「俺は、軍で体を鍛えながら過ごしたいな」

     「私は、山が見えて海もあるところで暮らしたいです」

     「僕は、今までどうりみんなと過ごしたいな。

      みんなもそうだよね!」

 米兵たち「当たり前だろ!」


 舞鶴首相「そうですか、では山もあり海もあり皆さんで過ごせるところ

      を準備しましょう」


 米兵たち「ありがたい限りです」


 舞鶴首相「ほかに要望はありませんか?」


 米兵「僕は、自分のお店が持ちたいです!

    昔から自分の店を開くのが夢でした」


 舞鶴首相「いいでしょう。ご用意いたします」


 米兵「ありがとうございます。」


 舞鶴首相「それ以外にありますか?」


 米兵たち「いえ、ありません」


 舞鶴首相「分かりました。では、用意しますのでしばらくお待ち

      いただますでしょうか?」


 米兵たち「分かりました、ありがとうございます」


 そして、米兵たちはおよそ一か月後望みどうりの生活を手に入れた。


 第7任務部隊の乗員たち情報はすぐさまアメリカ本土へ伝えられ

これを知った海軍司令官は激怒し、このことを大統領に伝えるために

ホワイトハウスに訪れていた。


 司令官「大統領大変です!」


 大統領「どうした?そんなに慌てて」


 司令官「第7艦隊が全員日本に降伏したと報告が!」


 大統領「そうか、第7艦隊がか…」


 司令官「ど、どうしましょう」


 大統領「うむ、これは日本がそれほど強いと言う事か。

    それとも、我が軍の練度が低いのか」


 秘書「大統領、これは第7艦隊が臆病者だったから起きたことですよ」


 大統領「そうなのか…」


 秘書「そうだ!大統領!」


 大統領「ん?どうした?」


 秘書「これを理由に演説をして国民の意志をあげましょう!」


 大統領「それはいい案だな、ではそうしよう」


秘書からこの提案が出た数日後、大統領の演説が行われた。


  大統領「今回諸君に集まってもらったのはとあることを伝えるためだ。

      我が海軍の第7艦隊が全員日本に降伏した!

      降伏した理由は第7艦隊が全員臆病者だったからだ!

      我が合衆国の国民諸君ならば!

      そのようなことはないと信じている!

      さあ!国民諸君よ!立ち上がれ!

      鋼鉄に武装し日本を潰そうではないか!」


 大統領の演説があったその日の午後、アメリカの国土に空襲警報が鳴り響いた。

上空に国籍不明機が現れたのである。直ちに、迎撃機としてF-67が飛び上がったが

その機体は速度がとても早くF-67が追い付けなかった。

後日分かったことであるが、昨日の国籍不明機は日本の偵察機「富岳」であった。

富岳の偵察により軍需工場の位置がおおよそ把握されたアメリカ側は

迎撃戦闘機や高射砲の強化を行った。が、レーダーだけは未だ技術が乏しく

低空での侵入が問題視され、新型レーダーの開発が考えられたが

低空で攻撃はしてこないだろうという結果に至った。


 そして、いくつかの時日が流れた1953年2月17日、アメリカ西海岸

の住宅地の上を無数の航空機が飛行した。住民も最初は空軍が演習でもしていると思っていた。

しかしその飛行機は日本軍機であった。

日本軍機をアメリカのレーダーが捕らえたのが西海岸から内陸に50キロも飛行した時であった。

内陸50キロまで侵入を許したアメリカ空軍は、スクランブルで迎撃機を

飛ばしたが軍需工場は目前であった。

さらに、迎撃に向かった戦闘機隊も日本の戦闘機隊に撃墜され

攻撃隊の侵入を許してしまったのであった。

そして、工場の一部が攻撃隊により破壊され空軍の意識が低空の攻撃隊に向いている間に、上空からは富岳爆撃隊が高高度爆撃をし、次々に工場を破壊した。


 見事なる奇襲攻撃を仕掛けられ、軍需工場に壊滅的被害を受けた

アメリカ側は、軍法会議を開いていた。


 秘書「皆さん、本日はお集まりいただいてありがとうございます」


 軍幹部達「今は、そんな悠長な事を言っている場合では無いのだろ?」


 大統領「そのとうりだ、今回は日本軍の奇襲攻撃をなぜ

     防げなかったかだ」


 軍幹部達「それにはいくつかの理由があるかと」


 大統領「ほう…」


 軍幹部達「一つ目、我が軍のレーダーの技術が劣っていたこと。

      二つ目、超低空飛行で攻められたので発見が遅れたこと

      三つ目、低空の敵機に攻撃が集中し、高高度の敵機への

          対応が遅れたこと」


 空軍大臣「しかし、奇襲攻撃と攻撃隊を二つに分け攻撃してきたのは

      敵ながらあっぱれであった。」


 軍幹部達「ですな…」


 大統領「感傷に浸るのもそれまでだ。今回の敵の攻撃で驚くべきこと

     が分かったのでな」


 軍幹部達「驚くべきこと?」


 大統領「敵機のデータだ」


 軍幹部達「新型機のデータですか…」


 大統領「そうだ、敵の新型機のおおよそではあるが性能が分かった」


 軍幹部達「どの機体のデータが取れたのです?」


 大統領「BIG Bearビック ベアのデータだ」


 軍幹部達「BIG Bearのデータですと!」


 大統領「そうだ、のデータだ」


 軍幹部達「それで、データの結果は!」


 大統領「おおよそではあるが、データはこれだ」


     最高速度:500㎞

     最高高度:7000m

     搭載武装:7.7㎜連装機銃4基 7.7㎜単装機銃5丁

     爆弾搭載量:5t


 軍幹部達「我が軍のFB-87爆撃機とそれほど変わりませんね」


 大統領「だが、このデータはおおよそのデータだからな…

     実際はこれ以上かもしれん」


 軍幹部達「そんなことないですよ!ジャップ共が我が国より

      優秀な機体を作れるわけがない!」


 大統領「そんな事を言って油断していると今回のような事になるぞ」


 軍幹部達「そ、そうですね…」


 大統領「これを機にレーダーの開発に今よりも力を入れるか…」


そうしてアメリカでは今よりもレーダ開発に力を注ぐようになった。

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