社長に辞表を叩きつけた

「残業……終わったぁぁ! 」

 こんなに喜んでいるが、実際終わったのは午前三時で有る。

「さよならっすー」

 夢-世界旅行-を叶えると決めてから、残業が楽しくなった。ま、それは、「明日で辞めるんだから」という嬉しさも有ったのだろうが。

(わーいわーい。僕は明日で会社を辞ーめるっと!)

 そんな事を思っていたが。

(社長は絶対許さないよな……?こんなこと。怒られる、か? でも、夢を叶えるのは良い事だ。あんな所に居たって身体を滅ぼすだけだ。よし! )

 **

 翌日。

 社長が来て、(見た目上は)元気に挨拶をする。

「社長!入っても宜しいでしょうか? 」

 社長室に入った社長に声をかける。

「……おー、なんだね」

「失礼ですが、今日を以て此処を辞めさせてもらいます。今迄有難う御座いました。では」

 辞表を社長の机に置く。

「??? どういう事だね」

「ですから僕は今日で此処を辞めさせてもらいます。こんなブラック企業会社にずっといるつもりは有りませんから」

 社長が後ろから声をかけて来たが僕はそれを無視し、机上の私物のみを速攻で鞄に入れ、会社を去った。


「うおっしゃー! 遂にあの社長に辞表を叩きつけてやったぜ!! 僕マジ神! すげぇ! 」

 自宅で自分を褒め称える。

(社長が電話を掛けてきても出ない! )と決めたので、電話番号を確認する以外はのんびり出来るだろう。

「さて、荷造り始めるか」

 リュックに物等をつめる。

 おい待て、旅に出ている間、家はどうする?

「いっか、どうせいつか帰って来るし。そーのまーんまー! 親には出張だと電話する。あー幸せー」

 そうして、家を後にした。

「そ、そう言えば、行き先どうしよう? 」

 ま、先ずは近い所から……

「此処は東京都だから、国内とすると……」

 千葉県。

「よし!電車で行くぜ! 」




 ここから、長ーい長ーい旅が始まるのであった。

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