第3話 しんじつ
やっぱり気になる。
どうにも目が覚めてしまったので僕は談話室へと向かいました。
あそこなら飲み物や食べ物もあるから・・・・・・。
談話室に行くとタイリクオオカミさんが窓枠に腰かけていました。
「オオカミさん、少しいいですか?」
「どうしたんだい、かばん。君も眠れないのかい?」
「ええ、ちょっと。」
月明かりを背に窓枠に腰かけたオオカミさんは妖艶な雰囲気を纏っていました。
「じゃぁ何かお話をしようか?」
「お願いします」
「こんな話を知っているかい?毒入りのジャパリまんを配るラッキービーストの話さ。」
ゴクリ。
「パークには時折、紫色のジャパリまんを持ったラッキービーストが現れるんだ。もちろん呼び止めれば普通のジャパリまんをくれるよ。でもね、そのラッキービーストはターゲットのフレンズにだけ紫色の特別なジャパリまんを配るんだ。
なんの疑いもなくそのジャパリまんをたべるだろ?するとね、急に眠たくなってどんな娘もすぐにぐっすり眠ってしまうんだ。」
「そして目が覚めるとどういうわけか全身が痺れて動かせないんだ。
そして回りにはたくさんのセルリアンがいまかいまかと待ち構えていてね・・・・・・一斉に飛びかかってきてガブリっ!
おっいい顔頂き。冗談、冗談だよ。
そんなに怖い顔しなくてもいいだろう、かばん。」
「やっぱり・・・オオカミさんは最後にちゃんと冗談だよっていってますよね。」
「それがどうしたんだい?」
「なんで夕方にフレンズ型のセルリアンの話をしたときにはいっていなかったのかなって。
それにあのお話、なんで誰も知らないはずのお話をオオカミさんは知ってるんですか?」
言ったとたんに部屋の空気がひんやりとしたものに変わるのを感じた。僕はなにか不味いことを言ってしまったのかな・・・・・・。
「・・・・・・そうか、気づいてしまったのかな?」
オオカミさんの目が妖しく光った。
「頭のいい君ならとっくに気づいているんじゃないのかな?」
「あのお話は・・・・・・嘘ですよね?」
そうであってほしい、思わず僕はそう願った。
「あぁ、その通りだよ、かばん。フレンズ型のセルリアンが夜な夜なパーティーをしてるなんてことはないんだ。」
思わず安心してため息をついてしまった。
でも目の前のオオカミさんの目は相変わらず妖しげな光を放っていた。
「かばん。君はそろそろ真実を知るべきだと思うんだよね。」
「えっ?」
「私たちフレンズはみんなジャパリまんを食べれば健康的に生きていける。狩をする必要もないし、餓えて同胞を食らうこともない。
でもね、ジャパリまんだけで本当に満足していると思うかい?現に博士と助手は五月蝿かっただろ?」
「確かに・・・・・・。」
「私も同じさ。
どうにも動物だった頃の野性味溢れる食事が忘れられなくてね。」
「オオカミさんもサーバルちゃんみたいに生の野菜や果物をそのまま食べるんですか?」
「ハッハッハ。
そう来たか、かばん。君は面白いね。」
「へっ?」
「本当に君はなんにも知らないのだね。」
「どういうことですか、オオカミさん。」
「ふふっ。まぁ当然と言えば当然か。なんせ君はフレンズ化する前の動物を知らないのだからね。」
「・・・・・・?」
「もちろん、ちゃんと話すよ。これは紛れもない本当のお話さ。」
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