first contact… 〈another side〉

――俺は、宙を舞っていた。


あ。死ぬのか。俺。


とっさに目をつむった。



「…っ!」


少し時間が経っただろうか。不思議と痛みは感じなかった。

これが死ぬって感覚か、案外あっけないもんだな…


「危ないですから離れてください!」


ん?声が聞こえる…

もしかして俺、まだ生きてる?


俺はゆっくりと目を開いた。


「…っ!?」


目を開いてすぐ、目の前の惨状に言葉を失った。


何だ…これは…。


鳴り響くサイレン、走る救急隊員。

そして、多くのけが人。


「大丈夫ですか?すぐに救急車の人来ますからね。」


体が勝手に動いていた。刑事として、俺にできることをしなければ。


「すみません!あちらに、年配の方が‼」

「はい!今行きます‼

 …あなたは大丈夫ですか?けがは?」

「自分は良いんで‼早く‼」



――

「ふぅーー。」

現場は落ち着きを取り戻そうとしていた。

俺は奇跡的に、手や顔の擦り傷だけで済んだらしい。

手当てを受け、一息ついていた。


「署に戻る前に、コーヒーでも飲むか。」


自販機で缶コーヒーを買い、一口飲んだ、そのときだった。


「ゴホッ‼ ゲホッ‼」


⁉ 喉がピリピリする。いや、チクチクというべきか。

風邪かな…。

帰りにドラッグストアで薬買ってくか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る