第49話抑えられない気持ち
「秀…」
俺は円花を抱きしめた
強く…強く…
俺の腕が円花の身体を抱きしめていることを実感させている
頼むから…俺の前では強がんな…!
俺は兄貴なんだから…甘えろ…
俺は円花の身体を離した
「秀兄ちゃん?」
「…晋一の事本当にごめん」
「…どうして秀兄ちゃんが謝るの…?」
「俺が聞いたせいで円花と晋一がこんな事になってしまったから…」
「ううん、秀兄ちゃんは悪くないよ」
「でも…!」
「私ちゃんと聞けて嬉しかったよ?そりゃ…ショックだけど…でも隠されていたより嫌だったから…だから気にしないで?ね?」
円花はそう言って笑った
そうやってムリをする姿が今の俺には辛すぎた
いっそ…責めて欲しかった
俺は拳を握った
「…もう嫌だ」
「…え?」
「俺はずっと昔から円花を見てきた
ずっと円花が好きだった
だけど二人が両思いと気づいて
その時はもう俺の入る隙なんてなかった
だから円花の事諦めた」
「…秀…兄ちゃん…?」
「でも!」
俺は円花の目を見てまた抱きしめた
「再会した時まだ円花を諦められない事に気づいた」
「え?」
「円花が俺を兄貴としてか見れなくてももうそれで良い、
これからはもう俺がずっと円花の側にいる」
「秀兄ちゃん?」
俺はやっぱり円花を手離すなんて出来ない。
「お前が辛い思いする所なんてもう見てられないんだよ」
「……」
「俺にしろよ」
「え?」
「俺なら円花をこんなふうに泣かせたりしない」
「…秀兄ちゃん…」
俺は円花の身体を離した
そして涙を指で拭った
「好きだ、俺の気持ちは何年経っても変わらない」
俺はそう言って円花にキスをした
「や、やだ」
円花はそう言って俺を突き飛ばした
「円花!」
円花は秘密基地を出ていった
こうなる事は分かってた
分かっていたけど
俺の目の前で泣いて
ムリして笑って
俺を一切責めない円花を見ていると
もう“抑えられない気持ち"でいっぱいだった
それでもやっぱり諦められない
円花が好きだ…
何年経っても…諦められなかった…
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