第48話秘密基地

外に出て俺は辺りを見回し円花を探した

「…ッハア…円花どこだ」

だけど外は暗くてよく見えない

「そうだ!電話!…番号知らない…」

俺は愕然とした

「…どこだ!円花!まさか…!」

その時俺は秘密基地を思い出した

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それは俺が小6の頃

俺はその時仲良かった友達と帰っていた

「じゃあな秀一ー!」

「おう!」

下校帰り近所の公園を通って帰っている時

「ん?あれは?円花?」

ブランコに座りながら下を向いた円花がいた

俺は円花のもとへ走った

「円花どうした?」

「しゅ…しゅう…お兄ちゃーん!!!」

「わ!どうしたんだよ?」

円花が俺の顔を見た瞬間泣き出した

「何?どうした?」

「あのね…と、友達のあ、あみちゃんと…け、けんかし、しちゃってね…」 

円花はそう言ってポロポロ涙を溢した

(そうだったのか…)

俺は秘密基地を案内する事に決めた

「来い、円花!いいところ連れて行ってやる!」

「え?」

俺は円花の手を引っ張り秘密基地に連れて行った

「着いた!ここだよ」

「??」

円花はきょとんとしていた

「ここが俺の見つけた秘密基地だ!」

「わあー!すごい!秘密基地だあー!」

「ほら危ないから手繋ご?」

「うん!」

俺達はそして秘密基地の中に入り座った

「円花、俺な昔悲しい事があった時偶然この秘密基地を見つけたんだ」

「そうなの?」

「うん」

「しばらく一人でいて泣いてた」

「円花と一緒だね!」

「ああ」

「でもこんな大切な場所円花に教えて良いの?ここにいていいの?」

「良いんだよ!ここは俺が見つけた秘密基地だから

俺が許す」

「ありがとう秀お兄ちゃん!」

「だから、円花

また何かあったらここに来い!

その時はすぐとんでくるから!

今日からここは二人だけの秘密基地だ!」

「うん!ありがとう!」

「約束な」

そして俺達はゆびきりげんまんをした

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「まさか…」

俺は秘密基地に向かった

円花…いてくれ!

そして秘密基地に着いた時ちょこんと円花が座っていた

「円花!」

「秀兄ちゃん…」

俺は円花の元に駆け寄り横に座った

「…すごいね本当にとんできてくれた」

「…当たり前だろ、だって約束したじゃんか」

「…そうだね」

「……」

そしてお互い無言になる

「…円花俺!」

「…懐かしいねこの秘密基地」

「ああ…そうだな」

「…あのとき秀兄ちゃんが来てくれなかったら私一人でずっとメソメソしていたよ」

「あの時はボロボロ泣いてどうしたかと思ったよ」

「あはは…ごめんね、秀兄ちゃんには私本当に感謝してるんだ」

「え?」

「この秘密基地を見せてくれたおかげで救われたし…それに…」

その時円花の目から涙が落ちた

「…晋ちゃんと清羅さんの事聞けた…し」

「…円花」

その涙を見て俺は胸が痛かった

「…ごめんね、秀兄ちゃんは本当私のお兄さんみたいに優しいよね…」

俺は…ずっと円花が好きだった

二人が両思いと知った瞬間

俺の入る隙なんてなかった

だから諦めた

だけど再会した時俺はやっぱ円花を忘れられないことに気づいた

円花が俺を兄貴にしか見てない事を知って

叶わないと思ったからこそ

俺は兄貴として円花の側にいることを決めた

だけど

引き離したのも俺だ

こんなに涙を流す円花を見てみぬふりなんて

出来ない

「…俺じゃダメか?」

「え?」

二人だけのこの"秘密基地“ももう今日でそうじゃなくなるかもしれない

二度と円花はここには来ないかもしれない

それでも良い

今だけ…

今だけ

円花の側にいられるなら

俺はどうなっても構わない…

だから…

もう俺にしろよ

俺は心の中でそう呟いた

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