第47話真実

「ただいまー」

「晋ちゃんお帰りなさい」

「待たせてごめん…ってあれ母さんと親父は?」

「おばあちゃんが倒れたらしい、だから今日は三人でお祝いだ」

「え…大丈夫かよ」

「ああ…」

持っていたチャームをポケットに入れようとしたその時俺はチャームを落としてしまった

カシャーン

「あ…」

(ヤベ…)

その時晋一がチャームを拾った

「…兄貴…これ…」

そのチャームを見た瞬間晋一が動揺し始めた

「晋一お前…このチャーム見覚えあるのか?」

俺は少しカマをかけた

「…え、いや…」

「…このネックレスは俺と清羅が二人で会う時にしかつけない約束なんだよ何でお前動揺してんだ?」

「……それは」

晋一は昔から嘘が下手だ

俺はどんどん晋一を責めた

「…このチャームは円花がさっき見つけたんだよ

俺はその時昔清羅に言われた事を思い出した

仲直りした後清羅はこのチャームをなくしたと言っていた

その前に清羅が大学の帰りにお前とバスで会って

びしょ濡れだったからといってこの家に入れてくれたと清羅は言っていた

その時俺は居なくて二人で居たのを聞いたよ

雑談していただけだと清羅は言うけどそれならたとえチャームがちぎれてもソファの所にあるはずだよな?

すぐにあるはずだよな?

…本当は雑談なんかじゃないだろ?」

頼むから頼むから晋一…

俺の予想と外れてくれ

俺は心の中で願った

だけどその願いは届かなかった

その時晋一は口を開いた

「…ずっと、言わないと思っていた…だけど…言えなかった…ごめん兄貴」

俺はじっと晋一の目を見た

「…全部話すよ」

「……ああ」

「あの雨の日清羅さんが言っていた事は事実だよ

俺は兄貴と清羅さんが喧嘩をしたって聞いて仲直りして欲しくてこの家に呼び止めた

最初は本当そんなつもりになるはずじゃなかったんだ!

ちょっと話をしている時に清羅さんが俺にキスをしてきて

それでも俺は拒むべきだった

なのにその時の清羅さんの姿が円花に似てて…

俺は…

俺…円花がいなくて寂しかったんだ…

本当にごめん…」

晋一が話した真実に俺はただ呆然と聞いていた

円花は涙を流した

「私帰るね…」

「円花!」

円花はフラフラと外に出た

「…晋一円花には話してなかったのか?」

「…話してない…円花を失いたくなかったから」

「晋一、清羅がした事は最低だし許されないことだ

でも円花が居なくて寂しいからってそんな理由で関係をもったお前はもっと最低だ」

「………」

「俺達ずっと昔から三人でいたよな

俺は小さい頃からずっと円花だけを見てきた

だけどお前らは両思いで俺の入る隙なんてなかった叶わないと思った

円花にとって所詮俺は兄貴にしか見られてない事も分かった

だから兄貴として円花の側で支えると決めた」

「…兄貴」

「晋一俺言ったよな?

円花を泣かすぐらいなら俺が貰うって」

「…うん」

円花をお前は泣かせた、約束通り円花は俺が貰う」

俺は宣言をし外に出た

俺は最低だ

円花を泣かせた

俺は晋一を最後まで信じたかった

だけど晋一は昔から嘘が下手だ

それに気づいた

…最後まで本当は貫き通して欲しかった

でもこれが俺が本当に望んでいたことなのか?

違う…

ごまかされたのが許せなかったんだ

だからこそちゃんと

晋一の口から“真実"を聞きたかったんだ

それなのに俺は二人を引き離してしまったんだ…


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