第46話疑惑

「もうすぐ円花の誕生日だな」

晋ちゃんが私の部屋に飾ってあるカレンダーに目をやった

「あ、本当だ」

「もう20歳か、やっと酒呑めるな」

「本当だあ〜!嬉しい!」

「あ、そういやさおふくろ達も円花の誕生日お祝いしたいんだってさ、だからあっちの家でやるけど良い?兄貴も呼んだらしくてさ」

「そっか…」

(三人で誕生日会なんて久々だな…)

昔はよく三人で必ずお祝いしてたなー…

懐かしい…

「円花は嫌だった?」

「ううん、そんな事ないよ!」

「そっか良かった」

晋ちゃんは後ろから私を抱きしめた

「楽しい誕生日にしような」

「うん!」

私は思いもしなかった

この誕生日で知らなかった真実を知ることを…

翌日

私の誕生日がやってきた

「円花はいこれ、誕生日おめでとう」

お母さんは私にプレゼントを渡した

「えー何何?わあ~かわいい」

中には欲しかったブーツが入っていた

「それ履いて誕生日会行きなさい」

「ありがとうお母さん!」

私は貰ったブーツに履き替えた

「じゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい」

ガチャ

ドアを開け外に出た

外で秀兄ちゃんが立っていた

「秀兄ちゃん?どうしたの?」

「ごめん、円花!今日晋一バイトで遅くなるらしいんだよ…ほんっとごめん!」

「う、ううん!大丈夫だよ!」

「とりあえず家で待ってよ?」

「そうだね」

私達は須藤家に向かった

「おじゃまします」

「とりあえず座ってて」

「うん」

秀兄ちゃんに言われ私は床に座った

「何か俺邪魔じゃないか?」

「そんな事ないよ!昔に戻ったみたいで嬉しい!」

「そ、そうか…」

秀兄ちゃんはそう言ってお茶を入れた

そしてお茶を私の前に置き隣に座った

「円花あのさ…」

プルルル

その時スマホが鳴った

「…俺だちょっと待ってて」

秀兄ちゃんは電話にでた

『…はい、え…嘘だろ…分かった」

しばらくして電話を切った

「嘘だろ…」

「どうしたの?」

「悪い、ばあちゃんが倒れたらしい…だからお見舞い行かないと行けないらしくて…」

「ええ!?大丈夫なの!?」

「…多分だから今日は三人でお祝いしろってさ…

本当ごめんな、円花」

「う、ううん」

久々に三人で過ごせるのは嬉しい

だけど…あの花火大会の時から秀兄ちゃんと晋ちゃんの間には何かある…

どうしよう…大丈夫かな…?

その時秀兄ちゃんが口を開いた

「あ!そうだ円花暇だろ?久々にアルバムでも見るか?あっちに行っている間の晋一の事知らないだろ?」

確かに知らない…

「うん!見たい!」

「よし、待ってろ」

そう言って秀兄ちゃんがアルバムを持ってきた

「はい」

「ありがとう」

私はペラペラとページをめくった

「わあー!懐かしい!」

写真には三人で写っていた写真がたくさんあった

「だな!」

「ね!」

振り向いた時いつのまにか秀兄ちゃんの顔が近かった

「わ、悪い!」

「う、ううん!」

その時晋ちゃんから貰ったあのハートのイヤリング床に落ち転がった

「あ、ウソ!待って〜!」

コロコロ転がるイヤリングを私は必死に追いかけた

ソファの下に転がってしまった

「大丈夫か?円花?」

「う、うん」

私はソファの下に手を入れ除き込んだ

その時キラッと光る物2つ見えた

「んっしょ!あ、あった!」

イヤリングに手を伸ばし出てきたその時

もう一つ違う物が出てきた

「何これ?ネックレスのチャーム?誰のだろ…」

「円花あったか?」

「うん、あったよ!ねえ秀兄ちゃんこれ誰の?」

私は手に持っていたチャームを見せた

「どうしてこれが…!」

秀兄ちゃんはチャームを見て驚いていた

(何だろう…?)

*****************************************************

「お待たせ致しました!」

時計を見ると20時を過ぎていた

(…ったく鬼店長…何でこんな日に限って…

早く円花に会いたいのに)

今日は休日だからやけに客が多い

(ハア…)

その時斎藤さんに声を掛けられた

「須藤君もう上がって良いよー!お疲れ様ー!

遅くまでありがとう!」

「あ、はいお先失礼します」

俺は従業員に挨拶をし颯爽と店を出た

(早く…早く会いたい…!円花に…!)

俺は家まで走った

だけどその間俺の忘れていたあの時の事が今更こんな形で掘り返されるなんて思ってもいなかった…

*****************************************************

「このチャーム秀兄ちゃんの?」

円花に言われ俺はビクッとした

(違う…これは俺が清羅に付き合っていた時に渡したやつだ…何で今更こんな所で…)

「昔清羅に付き合っていた時あげたネックレスについてたチャームだ…」

「そうなの!?じゃあ渡しておくね」

円花はそう言って俺にチャームを渡した

「ありがとう」

俺はチャームをぎゅっと握りしめた

何でだ…?

このネックレスは二人で会うときしかつけない約束だった

その時俺は昔の事を思い出した

前に清羅はこのネックレスのチャームをなくしていたと言っていた

その話を聞いたのは俺達が仲直りした後

喧嘩していた時大雨が降っていた日があった

その日は清羅が大学帰り傘を持って来るのを忘れてびしょ濡れのままバスに乗り

その時晋一とそのバスで会ったのを俺は清羅から聞いた

びしょ濡れだったから乾燥機と洗濯機を貸すためにこの家に招き入れたのも聞いた

乾燥機貸しただけって言っていた

ソファで晋一君と話してただけだと清羅は言っていた

それならネックレスのチャームがちぎれてもソファに落ちて気づくはず…

それになかった事に対して気付かなかったのか…?

俺の頭の中はそれに対しての“疑惑"が多々出てきた

そしてこの後真実を聞かされた…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る