第45話天秤

涼汰とも和解しあたしは幸せな一日を昨日迎えれた

一度過ちを犯してしまったあたし達

だけど初めて本当の気持ちを伝えられた

涼汰を心から愛そうと決めた

そう思っていたのに…

あたしは久々に早く大学に着いた

いつもの変わらない景色が違って見えた

少し明るく感じた

ゼミに向かうと美菜が机に顔を伏せていた

(美菜だよね?…どうしたんだろう?)

あたしは美菜に声を掛けた

「美菜?どうしたの大丈夫?」

その時美菜が顔を上げた

「舞由香…」

(泣いてる…!?)

「どうしたの!?…何が…」

その時美菜の首からあのネックレスがついていない事に気づいた

「美菜…」

「舞由香私ね彼氏と別れたの…」

あたしは美菜の背中をポンポンと叩いた

「ありがとう舞由香」

「…ううん」

「バカだよね私…自分から別れを告げたのに

何で…涙が出てくるんだろう…

悲しいのは向こうだよね…

一生叶わない恋なのに私はこっちを選んだ

…本当バカだよね」

あたしはこの時美菜の言っていた本当の言葉の意味を理解していなかった

ただ、美菜の言った一つ一つの言葉が引っ掛かった

「…叶わない恋ってどういう事…?」

そして一番その言葉が引っ掛かった

「え…?」

美菜が唖然としていた

「…あのね舞由香」

「…うん」

「私ね今…」

「…うん」

「…好きな人がいるの」

「…え?」

「…だけどその人は彼女がいるの…

私最初は彼氏だけを大事にしようと決めてた

…でも関わっていくうちに自分の気持ちに…

好きだって事に気づいた

…だから諦めようと思った

だけど諦めようとすればするほど

どんどん諦められなくなってどんどん好きになってしまった…

何で昔付き合っていた時もっとちゃんと彼の事理解出来なかったんだろう…」

美菜のその言葉を聞いてあたしは新堂さんの顔が浮かんだ

あたしも同じだ

彼女がいるのを知って諦めようと思った

だから連絡もしないようにした

それでも諦められなかった

新堂さんに告白してからちゃんと諦めようと思ったけど

新堂さんは私を京都に連れて行ってくれた

身体も心も繋がっていたと思っていた

だけどあたしは新堂さんの偽りの彼女にしかなれないことをしった

「…あたしも同じだよ」

気がつくとあたしは口走っていた

「…舞由香?」

美菜が唖然とした表情であたしを見る

「ど…うゆう事?」

「…あたしも最近まで好きな人いてたんだ

だけど…その人も彼女いてるんだ」

「え…?」

「美菜と同じだよ

あたしも彼女がいるって分かった時

諦めようと思った

連絡もしないようにした

だけど…諦めようとすればするほど

彼の事忘れられなかった」

「舞由香…」

「だから美菜の気持ちすごくわかるよ、

そりゃ私達はお互い彼氏いるし

本当はダメだけど…

でも好きになる事に対しては別に良いんじゃないかな?

誰を好きになろうが自由だとあたしは思う」

「舞由香…」

「片思いのままなら別に良いとあたしは思う」

「…舞由香ありがとう」

あたしもこんな事偉そうに言える立場じゃない…

でもあまりにも美菜の状況が今のあたしと似ていた

だから…つい魔を指すような事を言ってしまったんだ…

その時美菜の顔が少し明るくなった

「話聞いてくれてありがとう」

「ううん、もう大丈夫?」

「うん…」

「良かったー…」

「でも、片思いって辛いよね…」

「うん…」

時々思う

どうして好きになってはいけない人を好きになったんだろう…

どうしてあの人の隣は私じゃないんだろう…

どうしていつまでも忘れられないんだろう

忘れられたら絶対楽になるのに

私達はその道にいけない

好きになったってどうしようもないのに…

このまま今の彼氏を愛し真っ直ぐにいくのか

それとも叶うことのない恋の方にいくのか

まるで"天秤“にかけられているように

あたしの心もまた揺らいだ





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る