第36話青い糸

美菜に別れを告げられてから4日立っていた

僕は仕事に専念していた

その時課長に呼ばれた

「新堂君ちょっと良いかな?」

「はい!」

課長に呼ばれ僕は会議室に呼び出された

「何でしょうか課長」

「いきなりですまないが

君には一週間後京都に行って貰う」

(…京都)

「…それは転勤って事でしょうか」

「これは会社命令だ、分かってくれるね?新堂君」

「…分かりました」

もうあの子とは会えなくなる

僕は村田さんの顔が浮かんだ

自宅に帰り僕はソファに座ってボーッとしていた 「ハァ…どうしよう…、あ、美菜に連絡…」

《新堂さんとはお付き合いできません!

さようなら》

あの事を言われてから僕は美菜に連絡が出来なかった

美菜の声泣いていた気がした…

…きっと何か理由があるはずだ…

僕はそう思うようにした

結局美菜には転勤の事が言えなかった

一週間後にはもう出ていかないといけない

僕は飛び立つ寸前に村田さんにメッセージを送った

そして今電車が来るのを待っている

「…いきなりすぎたな…困るよなあんなの…」

だけど僕はどうしても送らないといけない気がした…何故か…分からないけど

村田さんにはちゃんと伝えたかった

時計を見ると16時30分になっていた

電車が来た

「よし、乗るか」

キャリーケースを持って新幹線に乗ろうとした瞬間

「新堂さん!!」

僕を呼ぶ声がした

振り返ると息を切らした村田さんが立っていた

「村田さん!?…どうして…」

「あの…ッハァ…っあたし…」

(走って来たのか…)

僕はその様子を見た村田さんに惹き込まれた

「…ちゃんと…ッ気持ち…伝えたくて…ッ」

「…えっ?」

「あたし…新堂さんと出会えてから本当に楽しかったです」

「うん、僕もだよ」

「…やりとりをするうちにだんだんとあなたの事が気になり始めて…

毎日毎日のやりとりが本当楽しくて…

メッセージが来る日は一日中ニヤニヤしてて

来ない日はすっごい落ち込んで…

あたしにとってそれが毎日の幸せでした」

「僕もだよ、君とやりとりを始めて

一緒に散歩行けた時本当に楽しかった、

僕も村田さんと同じ気持ちだよ

ありがとう」

「…新堂さん!あたし…

新堂さんが好きです!」

「え?」

突然の告白に僕は驚いた

「あなたが好きなんです…

こんなに好きになったの初めてなんです」

「…村田さん」

泣きながら僕の目をまっすぐに見て告白してくれた

僕はそんな村田さんの目に吸い込まれた

「…村田さん」

僕は彼女を抱きしめた

「…新堂さん」

彼女はギュッ僕の服を掴んだ

「…ありがとう」

「…彼女がいても構いません!

…せめて好きでいさせて下さい…」

その時僕の中で何かが切れた

『京都行きまもなく発車致します』

僕は彼女を離した

「新堂さん…!」

「これからは君に取って辛いこともあるかもしれない…

それでも僕に着いてきてくれる?」

僕は村田さんの手首を引っ張った

「え?」

村田さんは驚いていた

僕は自分で何を言っているか分からなかった

だけど…

これだけは言える

僕はいつしか村田さんに惚れていたんだ

僕も村田さんと同じだ

村田さんから来るメッセージが嬉しくて

来ない日はソワソワして…

同じだった

『発車致します』

プシュー…

扉が閉まった

「し、新堂さん!?んっ…」

僕は村田さんにキスをした

ようやく分かった

今日美菜に連絡しなかったのが全てだ

僕にとって今欲しいのは

美菜との赤い糸ではなく

僕の心を癒やしてくれた

村田さんとの“青い糸"だということを…






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