第33話仲直り

今日晋ちゃんと久々に会う

私は支度を済ませ花山公園のベンチに座っていた

ずっと震えが止まらなかった

晋ちゃんの話って何だろう…

もし別れ話だったら…?

私はスカートをギュッと握りしめた

その時

「…お待たせ」

私の目の前に晋ちゃんが立っていた

「晋ちゃん…」

晋ちゃんは私の横に座った

「…久々だな」

「…そうだね」

「…」

「…」

二人とも無言になってしまった

(…どうしよう)

その時晋ちゃんが口を開いた

「懐かしいな」

花山公園

それは私と晋ちゃんが初めて出会った大切な場所

やっぱり晋ちゃんを失いたくない

「…うん」

「昔よく一緒にあの砂場で遊んだな

円花中々城作れなくて泣いてたの覚えてる」

「そんな恥ずかしい事まだ覚えてたの〜!」

「ははは」

「もう…恥ずかしい」

そしていつのまにか会話をしていた事に気づいた

「あっ…」

お互いはっとした

しばらくしてまた沈黙が続いた

「ごめんなさい!」

二人とも頭を下げ見事に被ってしまった

「えっ…」

お互い唖然としていた

「円花から言って」

「井上さんとの事黙っていてごめんなさい…

本当はキスされました

晋ちゃんと喧嘩したあの後最近井上さんが家に来て

全部話してくれたの…

井上さんが私の事好きだったみたいで…

でも晋ちゃんと会って報われないと分かって

だから私に嫌われようと思ってしたことだって分かったの…

でもちゃんと言わないといけなかったのに私は晋ちゃんに嫌われたくないと思って向き合わず逃げてた

晋ちゃんは私の彼氏なのにちゃんと信じられなかった…

本当にごめんなさい」

私は頭を下げた

「円花ありがとな」

「俺もごめん…

最近円花と連絡が取れなくて本当は寂しかったんだ

そんな時井上と仲良くしてる所を見てしまって

俺は嫉妬してしまった

井上の方に気持ちがいってしまったんだと思ってた

そこから少しずつ円花の彼氏として果たせているのか不安になった

そのうち円花を束縛していた

誕生日の日もすごく嬉しかった

俺の為にしてくれていた事が分かって満足していたはずなのに…

井上に触られたって分かった時

一気にまた不安が募って

身体で円花は俺の物と分からせようとした

結果…円花を泣かせた

本当に最低な事をした

円花は俺の彼女なのに

俺はちゃんと信じられなかった

本当にごめん…」

そう言って晋ちゃんは頭を下げた

「晋ちゃん…ありがとう」

相手の事を信じ合うのが大切なのに

私達は自分の事しか考えていなかった

「円花俺…」

嫌だ…聞きたくない

「…嫌」

私は口走ってしまった

「…え?」

晋ちゃんが唖然としていた

「嫌って何が?」

「え…だって別れ話でしょ?」

「…え、円花は違うのか?」

「違うよ!私はやっぱり晋ちゃんじゃないとダメだもん!」

「俺だってそうだよ、円花じゃないとダメだ」

「…え?」

「別れたくない、ずっと一緒にいたい」

「私もずっと一緒にいたい」

「円花」

晋ちゃんは私を抱きしめた

私は手を回した

「…お互い言いたい事言お」

「え?」

「考えたんだ、俺等もしかしてお互い我慢していた部分があったんじゃないかって」

そう言って晋ちゃんは身体を離した

「…だから言っていこ」

「…分かった」

私たちは言いたい事を全部言った

「困らせてごめんな…」

「私もごめんなさい

「これからはちゃんと言っていこ、秘密も」

「うん」

「約束な」

私達は約束した

そして私達はもう一度抱き合った

「はあー…良かった…別れ話かと思った」

「私も思ってた」

「もう…絶対離さないから」

「うん…私も離れない」

私はさっきよりもギュッと強く抱きしめた

そしてキスをした

久しぶりのキスは今までで1番幸せだ

私達は公園を出た

「円花、行こ」

「うん!」

私達は手を繋いだ

「どっか行く?」

「ケーキ食べたい!駅前に新しいカフェ出来たんだよ!」

「よし、行くか」

私達は手を繋ぎカフェに向かった

晋ちゃんと会って私は全部自分の気持ちを伝えた

晋ちゃんの気持ちも全部聞けて

お互い言いたい事を言いあった

無事"仲直り”を出来て

私と晋ちゃんの関係はもっと強くなった

…この時はそう思っていた…


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