第23話誕生日

「お母さんこれで良い〜?」


「そうそうそんな感じ!」


私達は、晋ちゃんの誕生日パーティーの準備をしていた。


「よし…。出来た!」


「わあ〜すごーい!美味しそ〜!お母さんありがとう!」


「じゃあこれ、冷蔵庫に入れておくから。

円花もお疲れ様!晋一君、喜んでくれると良いわね〜!!」


「そうだね!」


その時、


ピンポーン


インターホンが鳴った。


「晋一君の所かしら?円花出て。」


「うん!」


ボタンを押すと、


画面には、晋ちゃんのお母さんと晋ちゃんが立っていた。


私は、インターホンに出た。


「はい!」


「あ、須藤ですけどー」


「はい、今開けますね!」


そして私は、玄関に行きドアを開けた。


ガチャ


「こんにちはー!晋ちゃんのお母さん!晋ちゃん!」


「あら〜円花ちゃん久々ね〜!こんにちは〜!

また美人になっちゃって〜!もう!羨ましいわ〜!

あ、晋一と付き合ってるんですって?」


「は、はい!」


「おばさん嬉しいわ〜!この子、とっつきにくいけどよろしくね〜!」


「やめろよ母さん。円花、困ってんじゃん…」


すると後ろから、お母さんが走って来た。


パタパタパタ


「あ、美知子さんごめんなさい!遅くなって!」


「いいのよ〜!それより、晋一の誕生日本当に良かったの?ご迷惑かけてごめんなさいね…。」


「いいのよ全然ウチは!」


「ありがとう、明子さん!」


「いえいえ!じゃあ、そろそろ行きましょうか?」


そう言ってお母さんは、家を出た。


その時、


晋ちゃんのお母さんが口を開いた。


「晋一!あんた、円花ちゃんに変な事したらダメよ!」


「…分かってるよ。」


「じゃ、行って来ます!」


そう言って二人は、出ていった。


私は晋ちゃんを部屋に招き入れた。


「い、いらっしゃい!晋ちゃん!」


「…お邪魔します。」


「ど、どうぞ…」


(·二人きり…、緊張する…。)


「円花ん家、久々だな」


「そ、そうだね!大学生になってからは、あまり家に来なくなったもんね…。

何か恥ずかしいな…あ!ご、ご飯にする?」


その時、晋ちゃんの顔が赤くなった。


「…何かそれ、新婚っぽいな…。」


晋ちゃんに言われ、私は顔が赤くなった。


(…やっぱり?恥ずかしいー!)


「間違えた!ごめん!」


「…何で謝るんだよ、…顔、赤すぎ。

ご飯はまだ早いから、円花の部屋、行こ。」


「分かった!」


そして私達は、2階に上がった。


トントントン


私は、部屋のドアを開けた。


「…どうぞ。」


「あの頃とは、全く違うんだな…。」


「うん…。最近、ちょっとだけ模様替えしたよ。」


「円花らしいな、かわいいじゃん。」


「ありがとう!ゆっくりしてね!」


「ありがとう。」


そして晋ちゃんは、近くにあったソファにしゃがんだ。


普段、自分が使う部屋を誰かが使うなんて変な感じだ…。


「このソファいいな…。フカフカ」


「でしょ!よくここで漫画読んだりゴロゴロしてるよ!」


「そうなんだ」


「私、お茶入れてくるね!」


その時、晋ちゃんが私の手首を掴んだ。


「行くなよ」


「え?」


「ここにいろよ」


真剣な…


だけど少し、甘えるような目で晋ちゃんは私を見つめた。


(今日の晋ちゃんいつもと違う。…私に甘えてる?)


「分かった…。お邪魔します…。」


その目に見つめられて、私は逃げられない気がした…。


どこに座れば良いか分からず私は晋ちゃんの前に座った。


その時、晋ちゃんの顔がまた少し赤くなった。


「そこ…、座るんだ…。」


「え?ダメだった?」


(間違えた?私?)


「いいよ」


その時晋ちゃんが、私を後ろから抱きしめた。


「晋ちゃん…。」


「俺今、スゲェ幸せ。…ありがとな、円花」


「…ううん」


そして私は、晋ちゃんの腕に手を置いた。


しばらく抱きしめられた後、


晋ちゃんが口を開いた。


「…円花、俺、アルバムみたい。」


「アルバム?」


「中学の」


「何で?」


「円花の中学時代、俺、知らないから。」


「…分かった。」


《中学》…思い出したくないけど、私は晋ちゃんにアルバムを見せた。


私は本棚から、アルバムを取り出した。


「はい」


「ありがとう」


そう言って晋ちゃんは、ページをめくっていった。


その時、


…テニス部の、写真のページが出てきた。


「円花、テニス部だったんだ。」


「…そうだよ。」


私は、《あの時》の事を思い出した。


忘れたい…、あの日の過去を…。


「円花、どうした?」


「ん?」


私は、わざと気にしないフリをした。


「あ、えっとねー!

私の隣の子は前島紗李で、

で、真ん中の子は、立川有希

有希の後ろの子は桑田智雅君

智雅君の隣は高杉廉君

その隣の男の子は…十河隼飛君」


十河君の顔を指で指していたその時、


私はまた《あの時》の事を思い出した…。


(…忘れなきゃ、あの事は…)


「円花…?」


「……」


「円花」


「え?」


振り向くと突然、キスをされた。


「んっ…」


久しぶりの長いキス…。


しばらくして、唇が離れた。


「え?どうして?」


「今こいつの事考えてたから。

…嫉妬した。」


「へ?んっ…」


そう言って晋ちゃんが、もう一度キスをした。


今度は、包み込むような優しいキス…


「円花」


「え?」


「その顔…、ヤバイ…。

キスに夢中になりすぎ、そんなに良かった?俺のキス」


そう言った晋ちゃんの顔は、意地悪な笑顔をだった。


「!?」


(ズルい…。)


「…良かったです。」


「何回でもしてやるから。

とりあえずそろそろご飯、行こ。」


「//」


トントントン


そして私達は、一階に降りた。


「晋ちゃんそこ座っててー!」


「おう」


私は晋ちゃんを椅子に座らした。


そして冷蔵庫からご飯を取り出し、電子レンジをかけた。


チン


「お待たせー!!」


そして私は、料理を運んだ。


「熱いだろ?俺持つよ、ありがとな。」


「ありがとう!」


テーブルには、たくさんの料理が並んだ。


(お母さん…!すごい…!)


晋ちゃんの好きな物、ばかりだ。


クリスマス並みの、豪華さだった。


「美味そうだな。俺の好きな物ばっかだ…。円花のお母さんに、感謝だな。」


「そうだね!お母さんに伝えておくね!」


「円花もありがとな。」


「ううん!」


「じゃ、頂きまーす!」


そして私達は、料理を食べた。


「うまい!やっぱ、円花のお母さんの手料理は最高だな。」


そう言って晋ちゃんは、料理をたくさん食べた。


「晋ちゃん、喉詰まるよ〜?」


「そうだな、わりぃ。」


「ふふふ」


そして全ての料理を食べ終えた。


「ごちそうさまでした。美味かった。」


「良かった〜!喜んで貰えて!」


そして私は、冷蔵庫からケーキを取り出した。


「スゲェ…。お店のんみたいじゃん。」


「へへ…。私もちょっとだけ手伝ったよ、下手くそだけど。」


「嬉しいよ、ありがとう。」


「へへへ♡」


(頑張って良かった♡)


そして私は、ロウソクに火をつけた。


「23歳の誕生日、おめでとう晋ちゃん!

いつも一緒にいてくれて、本当にありがとう!」


「ありがとな円花、俺幸せだ。

円花が彼女で、本当に良かった。」


そして晋ちゃんは、火を消した。


「おめでとう〜!」


「ありがとう。食べるか。」


「うん!」


そして私達は、ケーキを食べた。


「美味いな。」


そう言った時、晋ちゃんの顔はにっこり微笑んでいた。


「本当だね!」


そしてケーキも、全部食べ終えた。


「ごちそうさまでした。俺、今日一日幸せだった。」


「へへへ、良かったあ〜!食器置いといて!洗うから!」


「分かった。」


私は台所に向かい、食器を洗った。


ザーザー


水の音が、居心地良かった。


(私今、奥さんになったみたい…♡)


私が食器を洗っていたその時、


晋ちゃんが後ろから抱きしめてきた。


「ん?どうしたの?晋ちゃん」


「今こうしたかっただけ」


「そっか…」


結婚すると、皆こんな感じになるのかな…?


幸せだな…。


愛する人がこんなに近くにいるって…。


「円花」


晋ちゃんが私の名前を呼んだその後、


私達は、またキスをした。


一つ一つのキスが私には宝物だった。


食器を洗い終えた後、私達はリビングのソファに腰かけた。


「ちょっと待ってて!」



私は自分の部屋にプレゼントを取りに行き、


そして1階に戻った。


「晋ちゃん、お誕生日おめでとう!はい、これ!」



私はそう言って、晋ちゃんにプレゼントを渡した。


「ありがとう。開けて良い?」


「うん」


そして晋ちゃんは包装紙を開けた。


ガサガサガサ


(喜んでくれると良いなあ…♡)


この時私は晋ちゃんが、


どんな顔をするのか


わくわくしていて、その事しか考えてなかった。


だから、まさか…


思わなかった。


最高の"誕生日“が


このあと


あんな事になるなんて…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る