第19話束縛
私はあの後自宅に入った。
そして夕ご飯を食べ終えた後お風呂に入った。
入り終え、自分の部屋に入った時、
晋ちゃんからLINEが来ていた。
『今何してる?』
『今?ご飯とお風呂を終えて、
ベッドでゴロゴロしているよー!』
その時、次の返信が来た。
「晋ちゃん返事早い…!」
『そうなんだ、何食べた??』
「え?」
『今日は、麻婆豆腐だよ(^^♪』
「いつもはご飯の事なんて、聞かないのに…。」
その時、また次の返信が来た。
『麻婆豆腐か、俺もだよ(^_^)』
『そうなんだー(*^^)v』
そして私が送ろうとする間間に、
晋ちゃんから次々とトークが流れてくる。
「早いよ…。晋ちゃん…。」
『ところでさ、明日どっか行かない?』
『行きたい所ある?』
『俺は別にどこでも良いけど』
「ちょ、ちょっと待って!」
『円花?』
『おーい?聞いてる?』
『あ、じゃあカラオケ行きたい!』
私は急いで返信した。
その時次のトークが来た。
『カラオケ?良いけど…じゃあ駅前にする?』
『うん❤(ӦvӦ。)』
『楽しみだな(^o^)/』
『そうだね(*˘︶˘*).。.:*♡』
そしてその後も、LINEは続いた。
気がつけば、4時までやり取りをしていた。
そして5時を回った頃、私は就寝をした。
チュンチュン
「円花!いつまで寝てるの!!」
下からお母さんの声がした。
「え…。今、何時…。」
時計を見ると12時を過ぎていた。
「え!ウソ!?12時!?…13時に待ち合わせなのに…。」
私は着替えを済ませ、急いでヘアメイクをした。
「ゲ…12時50分!?行かなきゃ!」
私はパンプスを履き、急いで待ち合わせ場所に向かった。
晋ちゃんは既に着いていた。
私は晋ちゃんの元へ走った。
「晋ちゃ…、ごめ…ん!お待た…せ!」
「急いで来たのか?コケなかったか?円花はドジだからな」
そう言って晋ちゃんが、頭をポンッとした。
「ううん…。大丈夫だよ…。ごめんね…。」
「いいよ、行こ。」
「うん」
そして私達はカラオケに向かった。
向かっている途中、晋ちゃんが口を開いた。
「あいつら、円花見てる。」
「え?そんな訳ないよ。」
「いや、見てるって。
円花、歩いている男とは目合わさないようにして。」
「え!?」
「円花は俺のだから。」
この言葉嬉しいけど、たまに怖い…。
だけど愛してるから…、何だよね?
「分かった…。」
「後、俺とデートするときはスカート履いていいけどなるべく膝下ぐらいにして。」
(え??膝下…?)
「じゃないと、やらしい目で円花が見られるから。」
「…うん、気をつけるね。」
そして、カラオケ場所に着いた。
フロントでは、男性店員が立っていた。
「いらっしゃいませ、2名様ですか?」
「は…」
「はい」
私が答えようとした時、晋ちゃんがすぐさま答えた。
「かしこまりました、お時間は何時にされますか?」
「あ、じゃあ…」
「フリータイムで」
また、晋ちゃんが答えた。
「かしこまりました、機種は…」
その後の質問も、全部晋ちゃんが答えた。
(初デートの時は聞いてくれたのにな…。)
「…ではこちらです。4番のお部屋となっております。」
そう言って店員さんは伝票を渡してきた。
私が受け取ろうとしたその時、
晋ちゃんがバッと取り上げた。
「行くぞ、円花。」
「う、うん。」
そして私達はドリンクバーでジュースを入れ、4番の部屋に入った。
「カラオケ久々〜!!」
私がそう言ってソファに座ったその時、
晋ちゃんがピクッと眉毛を上げた。
「…誰かと来たのか?」
「あ、高校の友達とね!!」
「…男?」
「違うよ!女の子だよ!」
「そっか…。」
そう言った後、晋ちゃんが優しく微笑んだ。
「何歌おっか?」
「その前に何か食お…。お腹空いただろ?」
「そうだね!」
そして私達は、メニューを広げた。
「どれも美味しそ〜!」
「そうだな」
「どれにしようか?」
「円花好きなの頼んで良いよ、俺注文するから。」
「ほんと?ありがとう!じゃあ、これ!」
「分かった!」
そして晋ちゃんが、部屋にある電話で注文してくれた。
注文し終えたその時、
晋ちゃんが後ろから私を抱きしめた。
「ひゃ!びっくりした…。どうしたの?」
「ん?なんとなく」
そう言って晋ちゃんが、私の背中に顔をもたれかけてきた。
その時
「失礼致します」
男性店員が、料理を持って来た。
晋ちゃんはとっさに、手を離した。
私はその時、男性店員と目が合ってしまった。
その瞬間、晋ちゃんが不機嫌になった。
「…そこ、置いといて下さい。」
「…あ、はい、分かりました。…失礼します。」
そして男性店員は料理を置き、
そそくさと部屋から出ていった。
「…あいつ、円花のこと見てたな。」
「そんな事ないよ〜!」
その時、晋ちゃんの声が少し低くなった。
「…お前、もっと自覚しろよ。」
(え…怒ってる…?私のこと、お前なんて言ったことなかったのに…。)
それは、見たことない顔だった。
「…ごめんなさい。」
「俺はお前が好きだから。
大好きだからこそ、心配するんだよ。」
「ありがとう…。」
そうだよね…。
好きだから、
大好きだからこそ、
心配してくれているんだよ…ね?
そして私達は、フリータイムまでカラオケで過ごした。
フロントに行くと、男性店員がレジをしていた。
そして私達の番になった。
「はい、ありがとうございます。
ではフリータイムで、学生様ですので…2400円です。」
私が財布を出そうとした時、
晋ちゃんがさっとお会計をした。
そしておつりを受け取り、私達はエレベーターに乗った。
「晋ちゃん、お金返すよ…。」
「良いから、俺が出すから。心配するな。」
「けど…悪いよ。」
「円花の手が、あの男に触れる方が俺としては気分わりぃ。」
「……」
私はそう聞いて、黙ってしまった。
そして晋ちゃんは、私を自宅まで送ってくれた。
「じゃあな」
「うん、ありがとう。」
そして晋ちゃんは、帰って行った。
その時私は舞由香が言っていたあの言葉を思い出した。
《服に指摘されたりー、男性と目が合っただけで文句言ってきたらさすがに萎えるかな…》
今日の晋ちゃんと全く同じ行動だった。
…今までの晋ちゃんなら、
街中に男性がいても何も言わなかった。
スカートを履いた時だって何も言わなかったのに…。
今日は明らかに、男性とすれ違うたびに不機嫌になっていた。
それに…あんな顔、見たのは初めてだった。
これが“束縛”という重い縛りなんて、
思ってもいなかった…。
《好きだから…》
《大好きだから…》
晋ちゃんの言った、この言葉を私は信じていた。
だから限界がきてしまった。
そしてこの後、
私の晋ちゃんに対する気持ちが
少しずつ少しずつ
剥がれ落ちてしまった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます