第9話再会

「今日楽しかったな、円花。」


「う、うん!そ、そうだね!」


円花と俺は花火大会が終わった後、


手を繋ぎながら、円花の家に向かっていた。


さっきキスをしたせいか、


円花が照れていて、俺の顔を一向に見ない。


まあ、そんな所がかわいいけど。


こうゆう反応をされると、余計にイジメたくなる。


俺は少しだけ、いじわるをした。


「ごめん…、もしかして嫌だった?」


俺は少し声を低くし、円花に謝った。


「そ、そんな事…、ないよ…!」


そう言って円花は、恥ずかしそうにしながら、下を向いた。


「ごめんな、もうしないから…。」


「え!?」


俺がそう言った瞬間、円花が顔を上げ、焦っていた。


「ち、違うの!ご、ごめんなさい!

何だか恥ずかしくて…。初めてだったから…」


そう言って、また下を向いた。


(ヤベ…。むちゃかわいい…。)


俺は必死に、照れを隠した。


「ごめん、ごめん、しないってのは嘘。

したいときは勝手にするから。」


俺はそう言って少し、意地悪な笑みをした。


「///」


俺がそう言った瞬間、円花の顔が赤くなった。


俺は更に、円花を可愛いと思った。


「ほら、行くぞ?」


話してるうちに、円花ん家に着いてしまった。


(はえーな…。) 


「じゃあな。」


「あ…うん…またね…。]


俺がそう言うと、円花が少ししょんぼりしていた。


しょんぼりして、ドアを開ける円花の後姿を俺は見つめた。


…いじわるした筈なのに、


…俺のほうが円花を求めてしまった。


(やっぱりそんな早く帰したくない。)


円花が家に入ろうとした瞬間、


俺は円花の手首を掴んだ。


「どうしたの?」


いきなりで、円花は驚いていた。


「忘れてた。」


「え?…ん」


俺は円花に、キスをした。


さっきとは違う。


長くて、強引なキスを。


「晋ちゃ…ん…。」


長かったせいか、円花の呼吸が乱れていた。


その顔が、めちゃくちゃかわいいかった。


もっと攻めたくなった。


「言ったろ?したい時は勝手にするからって。」


俺がそう言った瞬間、


円花の顔が、一気に赤くなった。


(本気でかわいいな…。こいつ…。)


俺は円花を抱きしめた。


「ど、どうしたの?」


かわいい…。


めちゃくちゃにしたい…。


「ん?別に。」


円花は、緊張して震えながらも、


俺の背中に腕を回してきた。


また更に可愛いと思った。


円花といれるだけで、俺は癒やされた。


絶対誰にも渡したくないと思った。


しばらくして、俺は手を離した。


「じゃあな。」


「うん…!バイバイ…!」


円花はそう言って、小さく手を振ってくれた。


帰り道、


俺はうきうきしながら帰っていた。


多分ずっと、ニヤニヤしていたと思う。


「円花の唇、柔らかかったな…。」


まだしっかりと、感触が残っていた。


改めて自分が、彼氏だと言うことを認識される。


ブブ


帰っている時、LINEの通知音が鳴った。


画面を見ると、おふくろからだった。


『悪いけど、牛乳買ってきて持って来て』


「牛乳って、もっと早く言えよ…。」


時計を見ると既に、22時を回っていた。


「今日は浴衣をおふくろに着付けて貰ったからな…。

しゃーね、たまには行くか。」


一人暮らしをしてから、実家には帰ってなかった。


俺は、近くのコンビニに寄った。


「牛乳、牛乳と…。よし、これで良いか。」


俺はレジで、会計を済ませた。


「ありがとうございましたー!」


そして店を出て、実家に向かった。


歩いていたその時、家の前で遠くから人影が見えた。


けど、暗いせいか、ハッキリとは見えなかった。


「誰だ?…おふくろ?な、わけねーか

あんな…ワンピース?着ないし。」


俺はおそるおそる近づいた。


その人は、俺の実家のインターホンを押そうとしていた。


俺は、思わず声を掛けた。


「あの…。家に何か…?」


近づいた瞬間、俺はドキッとした。


その人からフワっと、香水が香った。


この香水…。


しっかり覚えている。


サラサラの長い髪。。


長い睫毛。


そしてこの香水…。


俺がこの世で、忘れたい人…。


まさか【あの人】が現れるなんて、


…思ってもいなかった。


その人は振り向いた瞬間、


ニコッと微笑んだ。


「久しぶり、晋一君。」


「清羅…さ…ん…?」


この"再会”で


円花と俺の関係が少しずつ…、少しずつ、


崩れていく事を…。


俺はまだ、予測出来ていなかった…。



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