かくよむ番組よう

宮里智

テーマ「夏休み」

 僕の小さな友達。

 僕のかわいい友達。

 僕の頼れる友達。

 彼の名前はゆき。僕の大切なモルモットだ。

 彼に初めて会った今年の春、片手に収まるほどだったその体躯は、およそ半年で両手を使わないと包めないくらい大きくなった。今年の冬生まれた彼は、初めて夏を迎えた。それにあたって、受験時にも冷暖房なしで生きてきた僕の部屋に、ついにエアコンがついた。

 段々ゆきを中心に世界が動き出す。

 エアコンがついたことで夏は涼しく冬は暖かで過ごせるようになった。しかし僕は、ゆきに四季を知ってほしい。大切な家族に、少しでも幸せを届けたい。だから出来るだけ旬の野菜をあげるようにしている。

 この前あげたのはすいかだ。甘すぎる赤い部分は僕が食べ、残った白い部分を皮ごと渡した。

 驚くことに彼は迷うことなく皮ごとすいかを食べ始めた。見よう見まねで食べてみたところ、ほのかな甘みと涼しげなしゃきしゃきが、夏の暑さを吹き飛ばすようだった。

 彼にとって夏はすいかの皮の味になるのだろうか、秋はどうだろうか、みかんの皮は食べるのだろうか。

 毎日生きる希望をくれるゆきに、感謝のすいかを今日もあげるのだった。

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かくよむ番組よう 宮里智 @miyasato

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