第21話 騒めく声が広場を埋め尽くすのです


「なんだ今……あっちの空、一瞬物凄く明るくなかったか?」

「一体何があったの?」

「あれ、ここまだ広場だよね。お姉?」

「そ、いきなしこの人数を転移しろとか言うから、面倒なんで

 お姉はさらっと言ってのけた。どんだけ規格外だよ、あんた。

「で、そっちはどうなの?」

「へ?」とチサ。

「上手く騙されてくれた?」

「あー、ちょっと待って」とチサは再び敵陣を覗く。

 ると、竜娘ドラゴンがドヤ顔でを指差していた。

「大丈夫、気づいてないみたい」

「そ、じゃ……、出番よ!」

「待ってました!」と突然声がした。

「本物の異世界で狩りできるとか、ヒャッホーだぜ!」

 姿なき姉――舞弦千影まいづるちかげは、そう言ってニヤリと笑う。

「おい」とそこへ赤い鎧の女が怪訝な顔で声をかけてきた。

「何?」とお姉。

「今の光は何だ? 何が起こっているのか知っているのだろう救世主」

「解ってる」と頷いてから、お姉は「早速お願い」と

「あいよー」

「な、声……だと?」とおののく女を無視してチカ姉の瞳が蒼く光った。

「何……だこれ」

 騒めきと共に姿

 諸行無常パーフェクトワールド――あらゆる存在ものを消すチカ姉の能力ちからで。

「あ、少し混乱するかもだけど作戦だからね」

 などと冷酷に告げるお姉に、驚愕と憎悪の顔を向ける女騎士。

「くっ、寝返ったか……ならころ……」

うるさい」とお姉が言うと、背後で空間がはじけ、そのまま昏倒する女騎士。

「良い、これより逆賊を討つわよ!」

 号令と共に、チサ達は高くそびえる山のふもとへと転移した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る