第18話 女騎士と竜娘がこっちを見ているのです


「これはまた、随分盛り上がってます事」

 開口一番、お姉がそうつぶやいたのは、女神像の前に集まったを見ての事。

 銀甲冑の騎士団を筆頭にエルフやドワーフ、それになんか小さい人達までいる。

 お姉曰く、一般的にハーフリングとか言うらしい。一般的って何さ……

 その彼らが、口々に「今こそ神の敵を討たん!」とか叫んでいる。

 特に赤い鎧の女騎士が……て、誰だっけ? あ、こっち見た。まるで射貫くような形相で。

「これ皆、聖母神の勇者様らしいわよ」

「へえ、そん中にお姉も入るワケか」

「あんたもよ」

「えー、チサは戦闘向きじゃないんだけどなぁ」

「何言ってんの、戦は情報で決まるのよ。斥候せっこう役のなんだからね」

 そう言って、お姉はウィンクする。

「解ってるよー。じゃあ、一丁やってみますか」

 チサは一度目を閉じ、そして再び開眼した。翠色に瞳を光らせて。


 臨界突破オールクリア――パンツの中から次元の先まで、全てを見通すチサの眼にえない物など存在しない。


 暗雲立ち込める中、赤いブレザーの魔女が台に立つ。

「今こそ、しき歴史を終わらせる時――邪神とさげすまされた我らが魔神ましんエルクが復活の時よ!」

 なんかノリノリだなぁ、御使みつかいさん。

「おー!」という鬨の声を上げる亜人達。

 魔術師風の男を筆頭に獣人や魚人、そして竜の角と羽と尻尾を生やした幼い少女も……何だろ、この既視感。

 あ、お姉がぶっ倒した淫獣ライオンまでいる。御使さん大丈夫?

 その御使さんのすぐ近くに例の魔術師が耳打ちしている。どうやら、あれが黒幕っぽいな。その隣で竜娘がチラッと

「え?」と違和感を感じるチサ。

 すると彼女はいきなり口を開け、そして――そこから閃光が放たれた。

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