第17話 お姉がルクスさん連れて戻って来ました


「ただいま、なんか変わった事は?」

「待ってたよ、お姉。すぐに御使さんのトコ行かないと!」

「何かあったのでしょうか?」とルクスさん。

いくさが始まるんだ」

 そう言うと、エイロはいきなり地面に膝を付く。

「勇者殿、これまでの遺恨を忘れ、どうか我らに加勢して欲しい!」

「いきなり過ぎてドコから突っ込んだら良い物かわかんないんだけど」

理由わけは話すが、ここでは……」

 見渡すと、土下座する騎士様に周囲の目が集中していた。

「仕方無いわね」と、お姉は瞳を光らせた。



「な、なんだお前達は! エイロまで……」

 腰を掛けていた銀髪騎士が驚いて声を上げる。

 どうやら、ここは団長の執務室のようだ。

「団長さん、どうもご無沙汰」

「き、貴様は……あの時の!」

「団長……勇者殿です」と、エイロがお姉を指して言う。

「勇者だと? まさか本当に……」

「ええ、その証拠に……君、あれを彼女に」と、チサの方に視線を移す。

「あー、アレね」と、チサはお姉に先刻のロザリオを手渡した。

「これがどうかしたの?」と、お姉が触れた瞬間――ロザリオが震え出した。

「ちょっ、何これ!」

「おお、まさか教皇の紋章が……では、この者が」

「勇者様は召喚魔法を操り、教皇の紋章にもその力を注いだとわれております」

 ここぞとばかりに解説を入れるルクスさん。

「ならば、ぜひ我が方に加勢を」

 騎士団長は椅子から立ち上がり、お姉の前にひざまずいた。

 それを見降ろしながら腕を組み、お姉は左の人差し指であごを叩く。やがて、

「良いわ、手を貸して上げる。その代り……指揮権はあたしが貰うわよ」

 そう言って、邪悪な笑みを浮かべた。

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