第12話 「チョーノーリョク?」と首を傾げるルクスさんです


「そ、超能力。簡単に言うと、魔法みたいなもんかな」

「ま、魔法!?」と、急に大声で聞き返す彼女。

「え、どうしたの?」

 あまりの勢いに、お姉が瞬きしながら問いかける。

「もし本当に魔法だとすれば、をその身に宿した事になりますが……」

「どういうこと? あなた達も使えるんじゃないの?」

「わたくし達が使うのは魔術――呪文と印によって魔界より力を呼び寄せる術で、魔法とは自身の精神を通して世界の法則を操る力なのです。魔法と魔術ではその根本が異なってしまうのです」

「じゃ、銀髪が女神の恩恵とか言ってたけど、あれはどう関係するの?」

「女神の恩恵ですか、それは魔術が魔界に依存するからでしょう。魔の力に地上の生き物が直接触れると魂をけがされ、最悪抜け殻同然になってしまうからです」

 ふと、先刻さっきのルクスさんの姿が脳裏に浮かぶ。

「それで聖母神だっけ、あの美人女神の恩恵を受ける必要があるんだね」

 チサが漏らした言葉に、彼女は不思議そうに振り向いた。

「なぜ、あなたがそれを?」

「だって、チサは

「みてた?」と、チサの言っている意味が解らない彼女が眉間にしわを寄せる。

「この子の能力、ちょっと悪趣味なの」

「お姉、悪趣味は酷いよぉ~」

「はいはい」とチサの言葉を適当に流すと、お姉はルクスさんに向き直る。

「そんなことより、魔界って?」

「魔王が支配する世界で、そこから魔族が地上に災厄を振りまいているのです」

「それって、いつ頃から?」

「たしか、創生の御代みよからだと言われています」

「それ……多分人間の勇者如きじゃ、どうしようも無くね?」

 お姉、それ言っちゃったら身もフタもない気が……

「ええ、そこはどうにもならないので放っといて良いです」

 あ、そこは良いんだ……

「じゃ、なんで勇者が必要なの?」

「ご神託がありました」

「神託?」とお姉は眉をひそめる。

「はい。妹が巫女をしておりまして、先日お告げをいただいたそうです」

「妹さんがいるの?」

「はい、生まれつき神の声を聴くことのできる聖女でフィティと申します。未来のお告げを授かることが多いのですが」

「なんか、ちー姉みたいだね」

 チサの言葉に、ちー姉は恥ずかしそうにそっぽを向く。

「それで、どんなご神託なの?」とお姉。

「妹はこう申しました。『白天より降り立つ天使、魔女となり女神の子を惑わさん』と」

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