第7話 ちょっとここで現実に戻るのです
「なんか、厄介なことになってんなぁ……」
チサがつい口に出してつぶやいていると、
「チサちゃん、どうしたの?」
お姉を幼くしたような小学生くらいの女の子が降りて来た。
チサ達の二番目の姉で、お姉にとっては五つ年下の双子の妹でもある。
あれ、いま何か変な事言ったかな?
一卵性のハズだが、すらっと伸ばした長い髪に大人しめの性格、華奢で小柄な身体付きと、顔以外は真逆と言っても良い。
でもなぜか、その日にお姉が食べたい物を連絡なしに作れたり、休日に行きたい場所も一緒だったりするから不思議だ。
「あ、ちー
「うん。それより、何かあったみたいだけど……」
「えっと、お姉がちょっとヤバいことに巻き込まれちゃったみたいで」
「姉さんが?」
「うん、なんか異世界に
「異世界……姉さん本当に成功したんだね」
どこか嬉しそうにそう言って、ちー姉は笑った。
今の口ぶりからすると、既に成功している『夢』でも見ていたのかもしれない。
「良かったね、ちー姉」
「ありがと。でも、今は姉さんのことが気になるから……」
「そうだね。お姉は、騎士団みたいな人達に捕まって牢屋に入れられたところ」
「チサちゃん、順を追って説明して……」
「あ、ごめんごめん」
チサは、これまでの経緯をちー姉に視たまま説明した。
「つまり、姉さんは
「まー、それが世界の名前なのか国の名前なのかは、ハッキリしてないけどねー」
「今は姉さんを待つしかない……か」
「でも、なんか変な光の手錠みたいな術をかけられてるみたいだし」
「大丈夫、姉さん強いから……必ずケロッとした顔で帰って来るよ……」
自信持ってそう答えるちー姉が、チサには頼もしく思えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます