誘い

 ラウンジに向かうと、一人の女性が隅の方で椅子に座らず待っていた。スーツを着ているが、多少露出が高い。髪は紫で長く、メガネをかけている。

 3人に向かってお辞儀をする。

 3人もそれに倣う。ただし、ラグランを除いては。

「ラグラン・アデス様、お会いできて嬉しいです。わたくし、ジャスティン・アデス様の秘書のローラというものです。」

「やっぱり親父の秘書か。なんとなくそんな気はした。とりあえず座ってくれ。」

 ローラと名乗る女性含む4人は各々椅子に座った。

「ラグラン様にぜひ、お渡ししたいものが・・・。」

「なんだ。」

 そして、ローラは一枚のカードを机の差し出した。

「これはジャスティン様宅のカードキーです。」

「なんでそんな貴重なものを俺に?」

「ぜひお出迎えしろとのことです。色々お聞きしたこともあるでしょうが、今は言えません。」

「そうか。ミルには会えるのか?」

「それもここでは・・・。ひとまず時間がある時にお訪ねください。警備のものには伝えておきます。」

「そうか。わかった。今日でもいいか?」

「ええ。17時以降でしたら、スケジュールが空いております。」

 それではお待ちしております、と言って秘書は帰っていった。

 その後ろ姿を見つめながら、ルーンが口を開いた。

「ラグ。これは罠かもしれないよ。」

「私もそう思うわ。」

 モイもルーンの意見に同意する。

「でも、行くしかないだろう。ミルを助けるためだ。あいつを失いたくない。アーマー端末の用意をしておいてくれ、モイ。」

「わかったわ。ただし、私も行かせて。サイバー関係ならなにか役立つかもしれないわ。」

「危険かもしれないんだぞ。」

「なんでも屋を立ち上げてからそれは覚悟済みよ~。」

 いつもの調子のしゃべり方に戻っているモイ。

「もちろんボクも行くよ。」

 ルーンもそれに倣う。

「すまん、2人とも。じゃあ、準備をしたら16時に俺の車の傍に集合だ。」

 わかった、わかったわ、とモイとルーンの声が重なる。

 各々準備をして、時間が経った。大統領宅へと向かった一行だった。

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