離ればなれ

 ショッピングモールに着く、一行。

 モイとミルはおしゃれをして、二人の後を付いていく。

「ほらほら~、ミルちゃん。ラグランと手をつないで~。」

 モイがラグランの前に立ち、ラグラン!ミルちゃんをエスコートしなくちゃだめでしょ!、と言う。

「あ、ああ。ほら。」

 ぶっきらぼうにミルの前に手を伸ばす、ラグラン。

 それに応えるミル。

 手を繋いだ。だが、ここでルーンが一言。

「ここは恋人繋ぎでしょー!」

「こ、恋人繋ぎ・・・!!わ、わかった。」

 ラグランはうろたえながら。対するミルは不思議そうにしている。

「こうやって手を絡めて、繋ぐんだよ。」

 ルーンが指南する。

「な、なんか・・・ドキドキします・・・。」

「・・・・。」

 ラグランはミルと目を合わせられない。

「も~、ラグランこういうの初めてなのね~。意外。」

「悪かったな。」

 さ、行きましょ~!、とモイが先導したのであった。


 それから、ウインドウショッピングをしたり、色々買い物をしたりした。女の子が着るような服をミルに着せてみたり、それを気に入ったモイはラグランに買ってあげなさい、などと言い。色々してるうちに日が傾き始めていた。


 駐車場に向かいながら、

「ミルちゃん、楽しかった?」

 と、モイが問いかける。

「はい!とっても!ラグランもありがとうございます。色々買ってもらっちゃって。」

 ミルの手には大きなうさぎのぬいぐるみが抱えられている。

「これ、とってもお気に入りです。」

「ああ。それならよかった。さあ、帰るぞ。」

「うん、そうだね。」

 ルーンが応える。


 と、その時。

「あ、あ・・・。」

 ミルが苦しみだした。

「ミル!?どうした!?」

 ラグランが慌てる。

 ミルの髪の色が赤に変わってゆく。

「ボク・・・・行かなくちゃ・・・。」

 目の焦点もあっていない。

 ラグランたちとは逆方向に進んでいく、ミル。

「ミル!!」

 ラグランは手を出し引き戻そうとするが、それは叶わない。


「こっちだよ。ミル。」

 ミルの傍にはいつの間にかアクセルが立っていた。

「アクセル・・・!!」

「ごめんね、ラグラン・アデス。ジャスティンの命令なんだ。」

「俺の親父か・・・。」

 ギリッと歯を食いしばるラグラン。

「さあ、行こう。ミル。」

「うん・・・。」

「行くな!ミル!」

 必死にミルを引き留めようとするラグランだが。

「ムダなあがきはやめた方がいいよ。」

 笑いながらアクセルが言う。

 そのうちにアクセルとミルは丸いシャボン玉のようなものに包まれて上へと昇って行ってしまう。

「ひとまずさよならだね。ラグラン・アデス。」

 そのまま上昇し、やがて消えてしまった。

「ミルーーー!!」

 ラグランの傍らには、うさぎのぬいぐるみが落ちていた・・・。

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