気づき

 メディカルルームに眠る、ミル。

 それを見守るラグラン。

 モイからはただ眠っていると言われていたが、あれから3日。ミルはまだ目を覚まさない。

「頼む・・・目を開けてくれ・・・ミル・・・。」

 ミルの左手を両手で包み込むようにしながら、祈る。

 そこで、ラグランは気づく。

 なぜ、こんなにもコイツが気になる?

 俺がミルに看病されてたとき、手を握られていた。その時、不覚にも羞恥を覚えた。

 コイツは男だぞ。しかもアンドロイド。

 そんなはずはない。

 などと考えていると、自動ドアが開き、人が入ってきた。

「お邪魔するよ。」

「ルーンか・・・。まだコイツは目を覚まさないんだ。」

「そうみたいだね。・・・それにしても、ラグ。君、寝てないでしょ。」

「コイツが目を開けるまでは寝る気はない。」

「心配なんだね。でも、もしミルちゃんが目を覚まして、そんな疲れた顔のラグをみてもミルちゃん安心しないよ。」

「なあ、ルーン。ミルはこれからどうなるんだろうな。俺の親父のせいで、こんなこことに・・・。」

「ミルちゃんのこと、好きなんだね。ラグ。」

「な!?」

 座っている椅子から立ち上がり、ミルの手も離し、かなり焦るラグラン。

「ななななんでその会話からそんなことになる!」

「その会話っていうか、態度で丸わかり。モイも感づいていると思うな。それにしても、ふふっ・・・。」

「なんだよ。」

「まさか冷静なラグがこんなに慌てるとは・・・と思ってね。」

「・・・悪かったな。でも、こいつは男でアンドロイドだぞ。」

「そんなの関係ないよ。ラグはミルちゃんのこと、守ってあげたいって思ってる?」

「ああ。思ってる。」

「なら、好きでいいんじゃない?」

「そんな簡単なもんか?」

「誰かを好きになるって、案外単純なものなのかもね。・・・とにかく、ミルちゃんが目覚めたら伝えてみたら?」

「まあ。気が向いたら。」

 頭を掻きながら言うラグラン。

「相変わらず素直じゃないなあ。そんなんじゃ実るものも実らないよ。」

「それじゃあ、俺は寝る。ルーンの言う通りだ。ミルには心配かけたくないからな。あとは任せた。目が覚めたら教えてくれ。」

「わかった。おやすみ、ラグ。」

「おやすみ、ルーン。」

 そう言いながら、メディカルルームから出ていくラグランだった。

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