アンドロイドとラグラン

 路地裏の開けた場所で、静かに佇む少年。

 やがてラグランとルーンの方を振り向き、言葉を紡ぐ。


「待っていたよ、ラグラン・・・。」


 突然の呼びかけに、驚くラグランとルーン。

「オイ、なぜオレの名前を知っている・・・?」

 ラグランの問いに、微笑みで返す少年。

「ボクが君たちの探してるアンドロイドだよ。名前のほかにも知っていることはある。・・・アデス。ラグラン・アデス。」

「!!」

 更に驚くラグラン。

「お前・・・何者だ。」

 銃をアンドロイドに向けて構えるラグラン。

「待ってよ、ラグ!この子は保護しなくちゃ。別に暴走してる様子もないし。」

 あくまでも依頼者がいる限り、依頼者の言う通りにせねばならない。

「クソッ!!とにかくこいつを捕える!」


「ふふふっ。そんな簡単につかまると思うの?」

 そうアンドロイドが言うと、身体が輝きを放ち、何かへと変わっていく。

 何かとてつもなく大きなものに・・・。


 その様子を見たラグランが大きな何かに気づく。

「こいつは・・・戦闘型ロボットだ・・・。」

「え・・・。」

 戸惑いを隠せないルーン。


 ロボットとなったアンドロイドが、攻撃を仕掛けてくる。

 攻撃の対象はラグランへと向かう。

 ロボットが拳を振り上げる!

 間一髪のところで、かわすラグラン。

 そして、構えた銃を撃つもロボットにはダメージを与えられない!

「クソッ!やはり今の威力じゃ無理か!」

 即座に耳に着けていた通信機に話しかける。

「モイ!いるか!?今戦闘型ロボットと交戦中だ!アーマー端末を転送してくれ!!!」

「え!?どういうこと!?」

「いいから早く!」

「わかったわ!」

 すると宙からアーマー端末が浮かび上がる。

 受け取る、ラグランとルーン!


「ルーン行くぞ!」

「うん!」


『アーマーリリース!!!』

 二人の声がハモり、身体にアーマーが装着されていく。

 戦闘態勢は整った。

 そのままラグランが戦闘型ロボットに殴り掛かる・・・!!

 バキンッ!!!

 ロボットの側面が欠ける!

 が、ラグランはロボットにつかまってしまう。

「ラグ!」

 叫ぶルーン。そして、ルーンの武器である双剣をロボット目掛けて振るう!双剣はアーマーを未着時にも使われているものだが、アーマー装着時に威力は増幅している!

 ラグランが捕まったロボットの腕へと斬りかかる!

 なんとか腕を斬りおとし、ラグランを救いだす!

「ラグ!大丈夫!?」

「あ、ああ…!」

 捕まれた苦しさから咳をしながら答えるラグラン。

「さあ、どうする?暴走してしまった以上、こいつを破壊するしかない。」

「そうだね…。」

すると、ロボットから声が聴こえる。

「まあまあ、やるみたいだね。ラグラン・アデス」

「その姓は捨てた。お前、ヤツの知り合いか?」

「だったらどうする?」

「ヤツに伝えておいてくれ。オレは誰にも縛られないと。」

「ふふっ、ボクのこと破壊しなくていいの?」

 ロボットは光を放ち、元のアンドロイドに戻ってゆく。ルーンが斬った片腕はなくなっていた。

「ボクの名前はアクセル。覚えてくれると嬉しいな。」

 無言で睨みつけるラグラン。

「そんなに睨まないでよ。じゃあ、またね。ラグラン・アデス。」

 そう言って、アクセルはどこかへと転送され、消えていった。





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