運命は動き出す

 天気は快晴!ラグランの心は暗雲!

「面倒だな……。」

「まあまあ、ラグ。楽しも?こんな可愛い子の服を選ばせてくれるんだよ?」

「ごめんなさい。ボクの為に・・・。」

車をショッピングモールの駐車場に止め、モール内を歩いていくラグランとルーンとミル。


「あ。ここよさそうだな~。入ってみようか。」

「はい。」

 フリルがたっぷりの服ばかりがディスプレイされてる店を見つけ、入っていく3人。

「勝手にやっててくれ、俺は外で待ってる。」

「そんなこと言わないで見ててあげてよー。あ、これなんかどうだろう。着てみて。」

「はい。」


 数分後。


 フィッティングルームの扉が開いて、ミルが姿を現す。

「ど、どうでしょうか?」

「これはやりすぎだ! ルーン!」

「えーいいのにー。かわいいのにー。」

 その服はフリルがたっぷりついたドレスのようだ。

「ち、ちょっと恥ずかしいです……。」

「えー! ミルちゃんまで!じゃあどうしようか。」

「あーくそっ!」

 ラグランがもう面倒くさいと言わんばかりに、服を選びだした。

「これとこれとこれだ!それ着てみろ!」

「は、はい!」


 数分後。再びその扉は開く。

「ど、どうでしょうか?」

「おーいいねー! 少しボーイッシュな感じだけど、いいと思うよ。」

「いいなら、さっさと会計済ませとけよ。じゃあな。」

「ご、ごめんなさい!」

ビクッとするミル。

「ちょっと待ってよラグ!」

 急いで会計を済ませ、ラグランを追う2人。

 時刻は16時を回っていた。



「ボク、タクシーで帰るから。」

 唐突に言い出すルーン。

「おい! なんでだルーン!」

「ミルちゃんさっきからラグに怯えてるよ。なんとかしなよ。これから一緒に暮らしていくんだから。ミルちゃんの居場所はボク達のところしかないんだよ?」

 そう、小声でささやくルーン。

「そうだなー。こういう時は公園にでもいって、話すといいよお互いの事。」

「居場所・・・か・・・。」

「とにかくそういうことだから、またね!ミルちゃん!」

「は、はい! また!」



 車は公園へ向けて走っていた。車中は二人とももちろん無言だ。

 駐車場へ停め、公園へ入る。

「着いたぞ。」

「は、はい。」

 公園は夕方ということもあってか、にぎわいは失われつつある。そんな中を2人は歩いていた。

 ふと、海を眺め立ち止まるミル。それに倣ってラグランも立ち止まった。

「キレイですね……。」

「あ?ああ……そうだな。」

「……。」

「……。」

 2人ともしばらく無言の後、ラグランが気まずそうに話し始めた。

「その……なんだ。お前、しばらくここにいるんだろ?」

「モイさんとルーンさんはいいと言ってくれましたけど……ラグランさんは……。」

「ああ……お前が何者なのかはっきりわからないとなんとも言えんな。」

「ですよね……。だけど、どうしてもわからないんです。モイさんの言った通り迷子のアンドロイドで……。」

「らしいな。はあ……。お前の居場所が見つかるまではオレ達のところにいろ。」

 仕方ないといった様子でラグランが答える。

「本当にいいんですか!?ラグランさん!」

「ああ。だったらその呼び方をやめろ。ラグランでいい。」

「はい!」


「もう日が暮れる。とっとと帰るぞ。」

「はい、ラグラン!」

 ラグランは足早に、ミルはその後を一所懸命付いて行った。



 ラグランとミルのそのずっと後ろである人物が彼らを見ていた。




* * *

 夜になり、ラグラン、ルーン、モイ、そしてミルが、レストルームに集まっていた。

 ミルを囲むように、3人はいる。

 そこで一人が大声を上げた!

「ええええ! その服ラグランが選んだの!?」

 モイだ。

「そうなんです……。」

 照れながら言うミル。

「なんか、えっちな感じがするけど。まあ可愛いからいっか~、ハグさせて~!」

「この人エロいからね。注意してミルちゃん。」

「おい!」


* * *

ある一室。暗くてよく見えない。

アンティーク調の室内でぼんやりと2人が見てとれる。

「なんだか面白いことになったようだね。」

やや年のいった男性が楽しそうにつぶやく。

「はい。報告によりますと、2人は出会ったと。」

女性が冷静につぶやき、彼女のメガネが輝く。

「なるほどね、どうする。ラグラン君?」

その人物はにやりと笑った気がした。

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