問3.5 : ワンサイドゲームはお嫌いですか?
「Fクラスが攻めてきた!?」
Dクラス代表の相川は動揺を隠せなかった。
「Fクラスは教室に籠城してたんじゃないのか? いったいどこから……、あ、一階から攻めてきていた別働隊か?」
「いえ、そこはまだ突破されていません」
「じゃ、どこから」
「正面からです!」
伝令の言葉をしばらく相川は理解できなかった。
「Fクラスにそんな力があるわけないだろ!」
「いえ、しかしながら事実です。現在、教室前で防衛戦を展開中です」
「教室前? すぐそこじゃないか!」
言った矢先、悲鳴が聞こえ、教室のドアに生徒が殺到した。
「よっしゃ! 敵陣だ!」
「一時はどうなるかと思うたけどな」
誰かと思えば、バカと金髪関西人だ。
「あんな奴らに突破されたのか?」
信じられないというふうに、相川は頭を抱えた。
「いえ、こいつらではなく」
「いいから! さっさと片付けろ!」
バカと金髪関西人をDクラスのメンバが囲み、バトルフィールドが展開される。どんな戦術を使ったのかわからないが、この人数差で勝てるはずがない。
一度追い返して、立て直さなくてはならない。
「くそ! Fクラスならば楽勝だと思っていたのに!」
相川が髪をかき乱していると、別のドアから一人の男子生徒が乱入してきた。
「ふぅ、意外と長いんだな、この廊下。疲れちゃったよ」
少し寝癖がついた黒髪にやる気のなさそうな眼、はっきり言って目立つところが一つもない平々凡々といった男子生徒は、気怠そうに歩いてきた。
「あ、いたいた。Dクラス代表」
「?」
「じゃ、さっそくだけど、召喚」
そのとき初めて目の前の人間が敵であることに気づいた。
いや、というか防衛組は何をしているのだ? こんな簡単に敵の侵入を許して。
相川は急いで「召喚!」と叫んだ。
「ふん! 単身でやってくるとはいい度胸だな! 俺はDクラス代表、Cクラスの点数とたいして変わらないんだ。Fクラスの雑兵なんて!」
勝負内容:総合得点
対戦者:宍戸鈴之介(Fクラス)vs 相川隼太(Dクラス)
3067点 vs 2217点
「……はぁ?」
一度、目を擦って、相川はもう一度召喚獣の頭に表示されている点数を確認した。だが、点数表示は変わらず、Fクラスにはあるまじき点数を冠している。
「何で、何でFクラスにこんな点数を取れる奴が!?」
「それは、まったく僕が聞きたいよ」
Fクラスの三千点ホルダーは小さくため息をつき、そしてなんてことはない雑用を片付けるように相川クラス代表の召喚獣を撃破し、Fクラスvs Dクラスの試召戦争を終結させた。
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