第6話

そんなふうにさんざんケガや病気のトラブルに見舞われたあげく、キュウドウさんのその最期は、


事故死だった。



頭の中の弾丸の影響なのか、キュウドウさんは目が悪くなり、


車に乗って魚釣りに出かけた岐阜の近くで、大型トラックに正面衝突して、


今度こそ30度目の正直みたいな感じで、あっけなく死んでしまった。



俺はその時、ちょうど小学校低学年くらいだった。


キュウドウさんが何かを握っているような形の手を宙でふらふらと彷徨(さまわよ)わせる発作や


キュウドウさんの頭から出た弾丸、


キュウドウさんの釣った魚の味、そういうものをかすかに覚えている。



俺はキュウドウさんの通夜にも葬式にも出たのだが、



火葬場では、みんながやっきになって、


灰になったキュウドウさんの頭の辺りを、


箸でつついていた。



「おい、もう一つの弾はあったか?」


「生きているとき、キュウドウさんがあんなに気にして


たんだから、なんとしても取り除いてやらんとな」


しかし、どれだけ探しても、


キュウドウさんの遺灰と遺骨の中から、


もう一つの弾丸は見つからなかった。



それが今から40年くらい前の話だ。

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