第4話

キュウドウさんが、ばあちゃんと暮らし始めて、5年目。


「ああ、出る、出る、出る」


という例のキュウドウさんの発作が激しくなった。



あるとき、



ガリガリガリガリ、


キュウドウさんは左耳の上を激しく掻(か)き始めた。




「ちょっと、そんなに掻いて大丈夫?」



ばあちゃんが心配して、キュウドウさんの手を押さえると、



「あ?」


といきなり、頭を掻いていたキュウドウさんが声をあげた。


次の瞬間、キュウドウさんは



「バンザーーーイ!!」


と言ってその場で飛び上がった。


そこで「バンザイ」


を繰り返した。


何回も何回も。


「いったいどうしたの、キュウドウさん。」


驚いたばあちゃんが、そう言って


キュウドウさんの体を押さえると、


「見てくれ、これを!」


と言って、キュウドウさんは手を開いた。



そこには、血に濡れて鈍く光る、一発の弾丸があった。




一体、なにがどうなったのかわからないが、本当に弾丸が自然に出てきたのだ。




キュウドウさんは叫んだ。


「加奈さん(あ、ちなみにばあちゃんの名は加奈って名前だ)!



俺はこれで、南の悪魔と縁を切ったぞ! 


これからはバリバリ働いて、


世話になった加奈さんに恩返しするからな!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る