ナーダムのご飯は特別な感じ

 日本で夏のイベントと言ったら、夏祭りですね。

 りんご飴、かき氷、わたあめ、焼きそば、焼き鳥といった食べ物。それに射的、ヨーヨーすくい、金魚すくいなどのゲームもあります。場所によると、花火や盆踊りもあります。


 モンゴルにおいての夏の一大イベントは、ナーダムです。


 ナーダムとは、モンゴル語で『祭り』という意味を持つ言葉で、年に数回行われる国民行事です。モンゴル相撲ブフや競馬、弓射といった競技が、モンゴル各地で行なわれます。

 そんな、モンゴル各地で行われる行事ですが、最も大きく盛大に行われるのが、国家主催の首都・ウランバートルで行われる国家ナーダムです。

 この国家ナーダムは、革命記念日にちなみ、毎年七月十一日から十三日まで、中央スタジアムで開催されます。国家ナーダムの開会式もまた、この中央スタジアムで催されます。


 去年、ナーダムの開会式のチケットを手に入れ、諸事情により一枚余ってしまった友人からチケットもらい、開会式を見ることができました。


 ウランバートルのスフバートル広場から、この日のために訓練された馬たちが列を作り、会場の中央スタジアムへ向かいます。馬たちとその馬に乗った人たち(恐らくモンゴル軍の兵士)がスタジアムに入場を始めると同時に、スタジアムの中央で綺麗に整列していたオーケストラが演奏を始めます。

 そして馬たちは演奏に合わせ、スタジアムのトラックを一周すると、中央の芝生が敷かれた場所へ行きます。そこで馬たちは一旦止められ、騎乗していた男性たちが様々な槍や棒を使った踊りを見せます。


 それが終わると、モンゴルの大統領が現れ、スピーチを行い、そしてモンゴル国家を歌うのです。


 スピーチ後は、様々なパフォーマンスは行われました。

 昔ーーモンゴル帝国が創られる前、また十三世紀頃のモンゴルを表現した踊りを見ることができました。その後は、徐々に時代が進んでいき、共産主義時代、またモンゴル国としての独立、そして現在を表した踊りや服装をパフォーマンスします。

 最後には、現在様々な職業に就き、モンゴル(主にウランバートル)で活躍する人々がスタジアムにトラックを歩いて周り、開会式は終わりました。


 毎年、同じ内容のパフォーマンスをしているのかどうかは知りませんが、私が去年見た開会式は過去から現在までのモンゴルの歩みを踊りで表現し、非常に分かりやすく観客に伝えていたと感じました。

 ナーダムの開会式はいつもチケットが取りにくく、チケット販売が行われる前日、人によっては数日前からすでにチケット売り場に並んでいます。新しいiPhoneやゲーム機が発売されるとなった時に行列を作っている人たちをイメージして貰えば分かります。あんな感じです。


 開会式は終われば、早速ナーダムの競技が開始されます。


 競馬はウランバートルの中心部では行われず、少し離れた地方の方で開催されますが、その他の競技は開会式があった中央スタジアム、またはその近くで行われます。


 弓射はスタジアム近くの、専用の広場を使い、ちょっとした簡易柵を超えた所から試合を観戦することができます。


 中央スタジアムではモンゴル相撲が開催され、人気のない、あるいは弱いの相撲力士が試合をしている場合は、誰もチケットを買わないので、無料で観戦できます。本当はいけないんでしょうけどね。でも出入り口に立っている警官は、入って行っても特に注意しません。


 相撲が行われているスタジアムの外では、様々な屋台が並んでいます。毎年、ナーダムの期間は日差しが強いので、必ず帽子売りとサングラスを売っている人がいます。気持ち悪いぐらいの量がズラリと並べられ、


「売り切れることはないんじゃないか?」


 と思ってしまいます。

 たぶん、実際に大量の売れ残りがあるともいますよ。本当に、すごい量なんです。検索したら出てくるかもしれません。興味がある人はぜひ。

 帽子とサングラスの他には、飲み物はもちろん、ナーダムで一番の目玉であるホーショールが売られています。モンゴルの大きい揚げ餃子のような物で、巨大化した揚げ餃子の中身が全て肉と玉ねぎになった感じの食べ物です。

 ホーショールは売っている人によって味が変わり、美味しい物もあれば、微妙なホーショールもあります。中に入っている肉もまた、人によっては変わります。牛や豚であることもあり、また羊肉が入っている時もあります。本当に違いすぎて、びっくりします。

 そしてみんな、


「ナーダムだから、特別なんだよ」


 と言って、大量にホーショールを買いますが、別にナーダムだからと言って、味が変わる訳ではありません。ナーダムというお祭りの間に食べるホーショールが、どこか特別な感じにさせるのです。夏祭りで、別にコンビニでも買えるのについつい焼きそばや綿飴を買ってしまう感じでしょうか。


 そんな賑わいを見せる首都ウランバートルですが、三十分か一時間ほど車を走らせた所に行けば、競馬場に行くことができます。


 競馬場もまた、人がたくさんいて、試合を観戦しています。

 なんでも、その年に優勝した馬を触ると、その年はいいことが起こるそうです。特に四歳の馬(記憶で書いているので、年齢が違う可能性があります。違ったら修正しますね)のレースで優勝した馬に触るのが、一番ラッキーのようで、一番観戦者が多いです。主にゴール付近でみんな固まっています。

 レースコースはとてつもなく長く、途中で走れなくなってしまう馬もいるそうです。また、コースにきちんと柵が置かれている訳ではないです。だからゴール付近で待っている人が試合を観れるよう、ドローンを使い、観戦席前に設置されたスクリーンに映し出しています。めっちゃ現代的。開会式でもドローンが使われて、撮影してたんです。びっくりするぐらい現代的。

 競馬場でももちろん、ホーショールと帽子とサングラスは売られていて、また競馬に興味がない子供用にアトラクションがいくつか用意されています。



 ナーダムにお金かけてるますね、モンゴル。冬になると何もできなくなってしまうので、夏の間に大騒ぎする感じですね。ものすごく楽しいです。


 皆さんもぜひ、機会があれば一度行ってみてください。お祭りにウキウキして騒いでいるモンゴルの人と一緒に、楽しもう!! ね、怖くないから。一度だけでもいいから……来てください!!!


 ナーダムにはまだ、私がここでは語り尽くすことのできなかった魅了が沢山あります。だから来て!!!


 おいで、モンゴルへ!!!

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