都会っ子になろう!

 さて、モンゴルへ向かった日の事について語ろう。


 モンゴルへ行くと知らされてから、母はテレビ番組にモンゴルが取り上げられると、それを必ず録画して私達(私と弟二人)にも見せた。

「みんなでこの国に行くんだよ」

 と。

 そしていつも付け加えていた。

「こんな草原じゃなくて、都会に住むんだけどね」

 と。

 そして更に、私が学校での友人やその他の知人にモンゴルへ行く事を伝えると、私は必ず母と同じ事を付け加えていた。

「こんな草原じゃなくて、都会に住むんだけどね」


 そう、いつもテレビに映るのは雄大な草原が広がるモンゴルの姿であって、私達が行く街の姿ではない。

 それはきっと、視聴者がそんなモンゴルを求めているからだろう。馬が走り回ったり、遊牧ってる人々の姿を見たいのだ! 多分!


 さて、私たちは親戚に見送られ日本を発った。そして何時間かかけて(飛行機に乗っている時間よりも、乗り継ぎの飛行機を待つ時間の方が長かった......)、日付が変わる様な時間になってやっと目的地に着いた。

 色々とトラブルはあったが、なんとか待ち合わせをしていた父の同僚と合流し、空港を出て車に乗る。

 外は暗く、あたりが良く見えなかったが、たくさんの情報が脳に入って来る。


まず、電灯が普通に立っている。なんの変哲もない、普通の日本にもある様な電灯がぽつん、ぽつん、と整列している。かと思えば、電灯が立っていない所に目をこらすと、山と思しき影が見える。発展と自然が隣り合っている。

 次に、韓国と日本産の車が結構たくさん走っている。深夜だから、そんなに車は走っていないだろうと思っていたが事実はその反対で、道路は渋滞していた。この理由はまた別の機会にお話しよう。


 街(ウランバートル)の中心へと近づくにつれ、あたりも明るくなって行く。その街の姿は、日本の田舎とそう変わりはない。

 高いビル(と言っても、東京や大阪にある様な高層ビル程ではない)が立ち並び、頭上には電線が張り巡らされおり、KFCを確認する事も出来た。

 誰も遊牧ってないし、馬も羊もヤギもラクダもヤクもいない。

 それに街の中心で見かける緑と言えば、そこらへんに植えられてた樹木ぐらいだ。

 これが現実という奴か......。


 モンゴルは思っていたよりも都会だった。

 Google Street View をしてみると、より分かると思う。

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