【実録】モンゴルにはユニコーンが住んでいる

井澤文明

1年目

モンゴル、ラブッ!!!

「モンゴルへ行くよ」

 父にそう告げられてから、はや九ヶ月。

「モンゴル行くんだ」

 日本に住む友人・知人たちにそう告げてけから、すでに六ヶ月が経った。

「モンゴルに着きました」

 連絡が取れる人にそう告げてから、あっという間に三ヶ月が過ぎている。


───時が経つのは早いもんだな。


 大叔母さんに貰ったアセロラ味のグミを食べながら、そう考える。本当に、早いもんだ。

 中原中也風に言えば「思えば遠く来たもんだ」。

 でも地理的には遠いけれども、心はそこまで成長していない。


「人は常に変化しなければいけない。常に成長しなければいけない」

 そんな事を父が言っていた。またどっかの教育本で覚えて来たのだろう。もしくは自分の経験からきた言葉だ。

 全く、困った父を持っちまったぜ。


 でも父が言っていた事は一理ある。

 池袋を舞台にした小説でも、同じ様な事を言っていた。


「本当に日常から脱却したければ、進化し続けるしかない......」

───どんなに非日常な環境にいても、慣れは存在するものだから、いつかはその非日常が【当たり前の日々】になってしまう。進化、あるいは変化し続けなきゃ、非日常な生活は送れない。


 現に私は、すでにこの異国の地での生活に慣れつつある。非日常を非日常だと考えなくなっている。

 これは、良い事なのだろう。

 でも慣れてしまえば、日本もしくは他の国でおかしいと考える事も、そう考えなくなる。

 「異常」を「当たり前」だと勘違いして、物事を深く考えなくなる。それはちょっと───いや、かなり恐ろしい事だと思う。


 主観的な考え方は、争いを生むだけ。


 だから私は、モンゴルに住んでいて思った事、また体験した事を忘れない様、ここに書き記しておきたい。

 自分が変化した所に気付ける様、ここに書き記しておきたい。


 ───父も、日記をつけるのは良い事だと言っていたしね(また父親の言いなりかい......)。

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