泥にまみれた馬
「モンゴル」と言われて初めに何が浮かぶ?
私は馬を思い浮かべる。
大草原に颯爽と走り回る馬。
緑の草が生い茂る草原で、食事をする馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬、馬。
という事で、今回は我が家が体験したモンゴルでの乗馬について話をしたいと思う。一番モンゴルっぽい話。
私たちが乗馬体験をしたのは、八月の下旬頃だ。
まだ夏の暑さが残ってはいるが、少しずつ秋の寒さが近寄ってきている時期。
この時期には、あまり雨が降らないそうだが、私たちは運が悪く、乗馬をする日にちょうど雨が降ってしまった。
しかし乗馬は雨がよほど強くなければ中止にならず、朝から乗馬をするために雨の中、地方へと向かう羽目になった。
モンゴルの中で都会らしい都会の首都ウランバートルから、およそ四時間かけて乗馬体験をする国立公園に向かった。
着いたら、国立公園に暮らす遊牧民のお宅(ゲル)で昼食をとる。しかし食事にありつけたのは、ゲルに着いてから一時間後の事だった。
彼らが時間にルーズな理由は、また別の機会に説明させてもらい、今は一旦、乗馬について話を進める。
さて、なんとか私たちは昼食を摂り、やっとこさ乗馬にありつけた。
次の苦難は、馬を操る事。
なんせ、私たち家族は全員、乗馬をした経験がない。強いて言うなら、ふれあい動物園でポニーに乗った事があるぐらいだ。
ドキドキしていると、案内をしてくださる日本語が話せるモンゴル人の方が、
「この馬たちは観光客が問題なく乗馬できるよう、調教されてるので特に心配はいりません」
と言われた。わあ、良かった......。
「でも、後ろから近づくと蹴られるので、絶対にやめてください。右から近寄っても、びっくりするから左から近寄るようにお願いします」
と言って、また私を緊張させる。しかし、そんな私とは反対に、馬たちは呑気に草を食べ、屁を放いている。
そうだ。付け足し忘れたけど、馬って結構、屁を放いてるんですよね。
何頭も一緒にいると、屁の音楽会になる。そして一斉に走ると、更に音が大きくなって、ものすごくリズミカルになるから、笑いが止められない。
さて、そしてついに乗馬を始めた私たち。
馬をコントロールする方法は簡単で、馬に繋げられている紐を移動させた方向に向けるだけ。
スピードを上げたい時は、「テュッ」と言いながら踵で馬の腹を蹴る。
テュッ、という掛け声の「テ」の発音は、日本語の「テ」と「チ」を混ぜた感じ様なもので、舌は「テ」を言う時の形をしながら、息の吐き出し方と唇の形は「チ」を言う時のものにする。
特に問題なく、雨の中を泥まみれになりながら乗馬した私たちは、モンゴルの雨に濡れた草原の景色を見ながら、三時間ほど乗馬した後、元のウランバートルへと帰っていったのだった。
今度は、晴れてる日に乗馬したいな。
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