タクシー乗り場にて

 飲み会が延びに延び、同僚宅を出たのは、午前三時であった。 

「この時間はタクシーもないから、泊まっていきなよ」

 同僚は申し出てくれたが、私は断った。


 外は二月の深夜らしい刺すような寒さ。しかも私は薄着であった。

 同僚宅近くの駅に寄ると、灯りの消えたタクシー乗り場が見えた。

 残念ながら、車は一台も止まっていなかった。

 乗り場に近づいてみると、ベンチに人が坐っているのに気がついた。

 人数は三名。みな無言であった。

 こちらを振り向いたように見えたが、暗くてよくわからない。

 私は、急いでタクシー乗り場から離れ、そのまま歩いて帰宅した。

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