正義

 俺の国の諸々を晒し尽くしたが、尽くすほどの域には達せず、淡々と冒涜を語るのみ。騙るだけの王様に価値など無く、在るのは裸体以上に恥辱的な輪郭だけだ。故に俺は自らの精神に糺そうと思う。此処に正義は存在するのか。悪でも善でも何でも好い。俺の根底には正義は存在するのか――答えなど。最初から決まった裡。正義は確かに存在するのだ。俺の正義とは歪の所業。己も他者も全を纏めて『否定』する空間だ。ああ。そうだ。貴様の思考通り、俺には種も仕掛けも無い。王を続ける事も困難に成り始め、物語で吐いた冗長の反芻と果ては同じ。取り敢えず。俺は俺の世界に、再び篭って終おう。最後に。


 【冒涜】神聖。尊厳なものを 穢し、傷つける事


 神聖も。尊厳も。穢す事も。傷を憑ける事も。

 俺には不可能だったのだ。

 理由だと。ああ――そもそも。それら本当に在ったのか。

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