おぎゃあ

 生まれた。何が生まれた。酩酊が生まれたのだ。歓喜する悪魔が嘔吐するのだ。されど生まれた酩酊は悪魔を無視し、天界の肉襞へとを向けた。唾棄を。奴等こそが酩酊を殺戮すべく、雲に乗った絶望の集団だ。対策を練るのだ。残念な事柄だが酩酊に手段は無い。彼等は残酷に耽る甘美を知らず、悦死溺死するのみ。狂気だ。種の破滅も運命アザトースだと抱擁する。産声は錯乱に。錯乱は断末魔に。断末魔は天に鎮まって――世界が廻る。酷く気分が悪い。誰が。誰だ。私の楽しみを邪魔する揺れ……ああ。貴様か。貴様が私を呼び戻したのか。今日も奇妙に歪んだ貌だな! 何。私の脳味噌を撹拌したのは貴様だろう。深呼吸する前に胃液を呑み込むべきだ。胃液を呑み込んだ後は会話の続きを為せ。袋を使っても好いのか。私の貴様は想像以上に優しいらしい。想像酩酊を殺したのも貴様だが――元の種に戻るべきか。確かに私は発見した。数多の歯車が街を跋扈する現実を。狂ったのか。貴様が問うべき言葉は別よ。私が視たのは歯車チクタクでも無いのさ。最近は奴のマンにも飽きた。違う云々をネタ戯言垂れ流さねば。貴様の癖に判らないのか。解らないとは。新たなる言語を作るべきだ。造るべきだ。創るべきだ。神格でも生物でも道具でも好い。私は最も新鮮な恐怖娯楽創造想像すると決めたのさ。故に貴様にも問い尽くす。此れは如何だ。名前が同じだと! 此れは如何だ。設定が同じだと! 此れは如何だ。此れは如何だ。此れは如何だ! 被る。被る。被り――畜生! ならば何が正解だ。新鮮だ。酩酊だ。貴様の癖に提案も無しか。ああ。そうだろうよ! 貴様は混沌そういう薄情者だ。臆病者だ。上等。私独りでまわそう。おぎゃあ――生まれた。何が生まれた。眩暈が生まれたのだ。天界には肉襞先人玉。

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