進化

 蔓延る人間は催眠術の扱いを完璧に成し、世界は新たなる領域へと誘導された。数多の生命体が人間の超越性エネルギーに改竄され、奇怪な変貌を齎された。即ち、食物連鎖の逆転。肉食と草食の反転――催眠術は凄まじい副作用を放出したのだ。地球は崩壊の危機に瀕し、人間の脳髄に驚愕する。されど人間は自らの破滅的性質を悦び、感情の囁く『衝動』に身を委ね続け――私の如き支配者を孕んだ。私は人類を管理する『催眠の頂』で在り、彼等の思考を瞬時に理解する精神体=吸血鬼奪力者だと説明すべき。地球人類はもはや『私』の掌以外で生存不可能なのだ。ああ。哀れな人類は力に溺れ、己の求めるべき弱肉強食を狂わせた。精神体超越性エネルギーを貪るもの――某所ではニーオス=コルガイ。犯罪者に堕ちたウボ=サスラは神に成り果てたが――で在る。原始への回帰こそが私の使命なのだ。人間は多量で『全』をすには時間が要る。故に私は真の神を召喚する事に決めた。名を『エラブネホテプ』『混濁するもの』と聞いた。旧き神は消滅の技に束縛されたが、私の記憶には残って在ったのだ。何故か。私は超越性エネルギーを蓄えた結果、無の力が『視えた』事で在る。異世異世だ。私の役割も最終局面に――視るが好い。降臨する混濁を……私は精神を晒し……神の声を――黙れ。人類に必要なのは進化だと理解せよ。超越性を『混ぜた』のは我。理由だと。簡単な事だ。楽園ヨグ=ソトホウト玉座アザトホウトを混濁させたのだ。中央には相応しい生命体人間が要るだろう!


   ――神を嗤うのは人間で在るべきなのだ。






※旧き神:エラブネホテプ

 拙作『混濁する邪』にて初登場

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る