掌編
其処の君。ああ。君だ。君に声を掛けたのだ。好い貌だ。書物を捲る音だ。私の耳朶を擽った君は『退屈』に溢れて在る、酷く『現実に飽き飽きした』魂だろう。文章には――文体と説くのが正しい筈だ――作者と読者の感情を弄ぶ力を有する。例えば。彼の文体を視るが好い。君の所有する書物の
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