啜るものども

 脳味噌を啜る存在など陳腐にも程度が在る。奴等は人間の頭蓋に穴を開け、中身だけを貪るのだ。故に其処等の動物と同等だと思考可能で、至極真っ当な『生命体』と解く。某所で輝いた触肢の現実は、冷たい頭を描写した滑稽だと理解せよ。思考塊を餌と見做す『喰らうもの』は既知たる現象で、恐怖からは離れて往った。数多の人間が震えた物語。遂に脳味噌は肉体を超越したのだ――答えは私の中に在り。視よ。人間を司る部品の気化に成功した。何。方法を望むのか。素晴らしい知識欲よ。時間の外に潜む猟犬を脳髄と同化させ、無限なる知識欲食欲を混同させ……人間は完全なる知的生命体へと進化す~?

 ――おい。待てよ。似たような物語が在った。ダメだ。ダメだ。其処の案は破棄して晒せ。確かに喰らうものと啜るもの。題名は面白い。何せ。皆の思考に嵌まるからな。されど貴様は禁忌を犯したのだ。人体の変貌は幾度も使った筈よ。自分で淹れた茶を煎じて如何する。阿呆が。嗤うならば心に留めておけ!

 ~ええと。何の話題だった。ああ。脳髄を如何に外敵から守護するのか。私では理解し難いな。人類が知識を蓄える方法は幾等でも存在する。書籍諸々が代表的。時空を越えた偉大なる種も扱った、人類史上最大なる『保管』だと~?

 ――HAHAHAHAHA! 莫迦が! 貴様の腕は糞の溜まり場だ。宇宙的恐怖も泣いて悲しむ。何よりも不愉快なのが……何処に未知なる恐怖が在った!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る