主の創造

 我等は強大な力を得た。生死の定め。必衰たる言の葉。理を無碍と成したのだ。成された無碍とは混沌よりも秩序に傾き、現実と夢幻を曖昧に融かす。融けた真偽は脳髄を舐り、在るべき容を『世』に落とした。観よ。我が仔の――我等の死を越える物体――輪郭が晒される。人間だ。彼等の名は人間だ。我等の存在を証明する、個性豊かな不死性と解く。勿論、彼等にも死は在るが。真なる死は在らぬ。真なる死とは『時』の牙に穿たれ、消滅する事を示す。ああ。人間とは素晴らしい! 彼等は時よりも先に『次』を育む故に! 失礼。少々。興奮が文章を冒した。取り敢えず。我等『支配者』は羨むべき『奴隷』を創造した。活きて。生きる。観察対象を眺め――幾年も。幾百年も。幾千年も。幾万幾億幾兆……可笑しい。我等も彼等も時も『滅』が訪れぬ。牙は何処にも輝かず、鈍く脆く崩れ去り。苦悶を呼ぶ。飽きを齎す。無聊だけが支配する。成程『支配』か。理解した。真の『支配者』とは感情だったのだ。我等も彼等も時も感情の下、泡立つ沼なのだ。覗く眼が総てを貫く。嗤う眼が総てを舐る。しゅの創造も想像に過ぎず、おもな『感情』に抑え込まれた、

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