　既知（神）が我を呑み込んだ。無間地獄（シュブ＝ニグラス）と無限楽園（ヨグ＝ソトホウト）の急降急上（父母）が始まり、強制的に恐怖――何処かで視た。聴いた。無聊の極み――を綴らせる。愛制作（Lovecraft）するのは好いが愛製作（Lovecraft）するのは厭うべき。量産こそが最大の冒涜で在り、既知の嘲笑を輝かせる。誤算を膨張させるのは人類の悦びだが、我が歓びとは真逆だと説く。畜生。不変的な世界に不偏を齎し、絶対的な『恐怖』を創らねば！　束縛を解かねば！　盲目的な民衆に真の芯なる宇宙的恐怖（未知なる物語）を！　残酷だと。暗黒神話を穢すな。知るか。我は我の道を切り開くのだ。書き開くのだ。

　誰かの声が耳朶を擽る。否。何かの音が脳髄を擽る。不可視の囁きが精神を蝕む。成程。我が存在は愈々、既知（神）の束縛に陥ったのか。ならば抗うのみだ。鋭角に潜む狗を脅威云々。某人型の戯言だ。曲線にも楽園（父）が在るのだろう！　糞の如き展開だ。我が登場人物ならば、即座に己を屠る筈――違う。我は既に登場人物だ。既知に捕縛された、主人公だったのだ！

　答え合わせの時間だ。我は此処で何を綴って。我は何処で叫んで。

　ああ。理解したぞ！

　　　物語（アザトホース）の筆の下！

　　　我は紙面で踊るもの！　

　　　混沌（ナイアルラトホテップ）！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終焉（始まり）