第6話 大陸国家主義と専守防衛
やはり防衛大学校時代の記憶なり。強烈に記憶に残りおる上級生がいたり。40年を経過しても彼の面立ちや出身県、そして名前さえ覚えていたり。山口県出身の方だった。我が山形有朋や田中義一元首相など旧陸軍軍人について調べることを思い付いたのも彼の存在を思い出したからに他ならず。あたかも西郷南州や東郷平八郎をに深く帰依する我と相反する立場だっだやも知れぬと思うが所以なり。
1学年時にベトナム戦争が終了したり。彼は陸上自衛隊の存在は強く認めたり。陸上自衛隊による本土決戦を強く主張したり。我は陸上自衛隊の必要性について疑問を投げかけたり。本土決戦など太平洋戦争の例を見ても不可能にあらざるやと思いたり。彼は日米同盟により過去とは異なると主張したり。本土決戦に及ぶ前に海や空での防衛を優先すべしと思いたり。我はリンチに合っていたやも知れず。ひどく辛い記憶が残りたり。ただ長く我を庇いたる者の山口県出身者たる記憶あり。
朝鮮戦争を期に警察予備隊なる組織から発足した歴史を有するも、結局、陸上自衛隊は戦前の陸軍の流れを組む集団なり。旧軍人に職を与える役割も果たしたり。基本的に設計は終戦間際に南方戦線に兵力を派遣し空になった満州での教訓を基に設計されたるがごとく感じたり。すなわち太平洋戦争末期に満州に怒濤のごとく侵入したソ連軍が、今度は北海道に同様な手口で襲いかかるのではと恐れて設計された集団にも思えたり。
戦前の陸軍の戦略は大陸国家主義と表することも可能だと思えたる、代表的な存在は山口県出身で陸軍大将から総理大臣に上り詰めた田中義一という人物なり。日ロ戦争に勝利したりとは言え常に日本はソ連の復讐に脅え、それに備えたり。陸軍軍人は国内にソ連を迎え撃つことを避けたることに専念したり。そのために日本の周囲にソ連を迎え撃つ防衛線を設けることを構想したり。特に欧州での第一次世界大戦を観戦した者たちが帰国し近代戦の惨さが伝わるにつれ、その傾向は強くなりたり。無人に等しい満州にソ連軍を迎え撃つ用意を進めんとす。張作霖の満州国建国も日本にとっては好ましいことなりしが、支援もしたるがごときに思える。だが彼が北京で蒋介石との争いに敗れて、満州国に帰国するや彼の敗北を許し難しと、陸軍大佐の河本なる人物が爆殺したる。このことで張作霖が建国した満州国も崩壊し、その後、石原完爾なる陸軍軍人が満州国再建を目論む国際世論の理解を得られず、かえって日本は孤立を深める結果に至れり。
様々な歴史的な教訓を整理するに我は日本は東アジアにおいてイギリスがごとき海洋国家として立場を堅持し、朝鮮半島や大陸とは一戦を画すべきと思いたり。
2011年3月11日の副島原発事故までは、「静穏の砦」が国際的な紛争から日本を守りたり。しかし、あの日を境に日本は普通の国として抑止力強化の回復を図るしか道はなかりしと思い、焦燥の念を強めたり。
しかるに専守防衛と言う言葉の意味を政治家や一般国民は認識したるや。
専守防衛とは本土決戦であり、終戦間際に日本が企てた最後の道なり。現在の陸上自衛隊の作戦計画も終戦間際の旧陸軍の作戦計画のとおりにあらずや。また国内に敵兵を招き入れ白兵戦を演ずることがを、如何なることを意味するか自覚しおりか。
また組織改正を阻む力に、努力をしたりとは言え、地位にしがみつく存在、職を失いたくないと言う存在が国の未来を危うくしかねないこと、常に周囲を巻き込みたいとと言う人間の本性を政治家や一般国民は認識しおりか。
優先すべきことは空と海での防衛力を高めることなりと訴えたし。また国内に紛れ込み、有事の際に本国の指示で日本国内でテロを企てる者に常に用心することなり。
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