その後いろいろありまして

 それから、

 遺跡を出てカボチャに乗って門をくぐって元いた世界へ、お化けトンネルを通って戻ってきて、体の重さに気がついて一気に疲れて、でもミュウと先生は大慌てでスーパーにダッシュして、オーマはかっかっかと謎の高笑いして木刀ぶん回しながら家路について、後に残されたイクトとその父と母と。

 さて。

 スマホがたららと着信のメロディを流し、出てみれば叔父が慌てた様子で何で出ねーんだよバカ心配したぞとわめきたて、イクトは「戻ってきたよ」と答えながら思わず知らず涙を流して。

 一件落着――。


 ――とは行かないようで、

 両親が帰ってきたのは良いのだけれども、いなくなったのはイギリスで、見つかったのは日本で、つまり法的に言えば密入国、とあいなるわけで、そのことについて東京の官庁に赴いていろいろと説明せねばならぬわけで、説明したところで果たして納得いただけるのか甚だ疑問が残るわけで

 いやはやなんとも、もとのロンドン暮らしに戻るにはえらく時間がかかりそう。


 だから、イクトは普通に学ランにすべきか否か考えたけれども

「やめろよ、おまえがふつーになったら俺が悪目立ちすんだろ」

 とオーマに言われて、

「うん、あたしもスカート短いとか絶対言われるし、そのままでいて」

 とミュウにも言われたものだから。

 そういうわけで今でもブレザー服のままでいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トワイライトゲートの彼方 狸屋十一 @272789

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ