第24話
3月21日
卒業式が終わって、式場の片付けをしている安藤先生の元へと行く。
今日はなんだか元気だった。明るかった。
いつもより明るく「あんどーーーー」と声をかける。
でもそこにいたのは少し元気のない安藤先生だった。
「おう、千佳!どうした、今日は元気じゃん」
「そうそう、元気なの(笑) でもあんどーは元気ないじゃん。なんかあった?」
「え、そ、そうかな。うん、えっと、、、」
明らかに動揺していて返答がなくなった。
「ねぇ、なんかあったんだよね。私でいいなら聞くよ。」
「うん。千佳には最初に言わなきゃいけないって思ってた。
あのさ、
俺、異動になると思う。いや、確実に異動になる。」
聞くよ。って言っておきながら理解ができない。
「え、どういうこと…?」
「そのままの意味。この学校からいなくなる。」
「いや、冗談でしょ。だって明日じゃん、新聞に辞令が載るの」
「ううん。本当。あと、俺は新聞に載らない。来年度から正式な教員になるんだ。 だから今年度の辞令には名前が出ない。新聞には載らない。
しかもどこに異動になるかもまだわからない。」
「嘘。ヤダ、嫌だよ。なんでよ、ねぇ。なんで。」
私がそう駄々をこねたところでどうしようもないのに、それしかできなかった。
「泣かないもん!」なんていいながら気づいた時にはもう泣いてた。
安藤先生もどこか寂しそうに
「俺だって嫌だよ。千佳のことだって何も解決しないまま、最後まで面倒見れないまま異動になるなんて嫌だけどさ、これだけはどうしようもないんだ。」
そういってうつむいたまま
「ごめんな。」って何度も私に言うんだ。
「あんどーは悪くないよ。むしろ感謝しかないよ。ありがとうって気持ちしかない。泣かない。泣かないから、離任式は笑顔でさよならしよ。」
現時点で泣いてる私が言うなんて全くもって説得力のないことを言った。
「これは千佳にしか言ってないからほかの人には内緒だよ。」
なんて最後まで期待させる言葉をいう安藤先生。
「わかったよ。離任式、必ず来るから。」
「おう。待ってる。」
そういって今日は別れた。
2人して泣きながら、また離任式にね。ってバイバイした。
だいすきなひとが遠くへ行ってしまう現実を受け入れたくなかった。
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