第20話

話は大分飛んで冬休み前日。


今日は集会があってゼミで集まったら解散だ。


あいにく外は雨がパラついていて、でも中途半端な雨だから

傘を持っている人は少ない。きっと帰りには止むのかな。

なんて思いながらも私は傘を持ってきた。


体育館の中に持っていくと邪魔になるから、体育館外の靴箱に置いておこう。


絵里と共に壁際に座って集会が早く終わらないかな、なんて思いながら過ごす。


長かった集会が終わって後はゼミで集まれば解散。


靴箱から靴を取り出し人が減るのを待っている。


すると絵里が

「千佳〜!すごい雨降ってきた、傘持ってきた?」


「あれ?そういえば傘置いといたのに無くなった」


「うそ〜!どうするの?あたしはおじいちゃん迎えに来るからいいけどさ、やばくない?」


「だよね、大分ピンチ。これは学校の傘借りていかなきゃかな、でも冬休み中に返しにくるのめんどくさいしな。しょうがない、濡れて帰るわ」


「まじか、とりあえず生徒課に相談してみればいいじゃん!もしかしたら冬休み明けでもいいかもよ。」


「そうだね。そうする。あ、そういえば、あんどーが生徒課だ」


「お、好都合じゃん(笑)」


絵里のばか(笑)


するとタイミング良く安藤先生登場


「千佳、よかったな。冬休みに入って(笑)」


「そうだね!(笑) そういえば傘持ってきたのに無くなっちゃった(泣)」


「まじ?雨、結構降ってるしゼミで集まった後に職員室おいでよ」


「あ、うん。わかった。」


この時、絵里は横でニヤケ顔


とりあえずゼミで集まらなきゃ


絵里と冬休み遊ぼうね!と告げて別れてゼミの教室へ向かう。


ゼミ教室へ行くともう話は終わりかけてて、「じゃあ悪いことはくれぐれもしないように!さようなら」のゼミ担任の合図で次々と帰って行く。


よし、安藤先生のところに行かないと!!



安藤先生に言われたように職員室へ向かうと職員室には安藤先生がいなくて、

もう!安藤先生が言ったから来たのに。

と思いながら職員室前で安藤先生を待つ。


5分もしないうちに安藤先生が駐輪場の方からやってくる。


「あー、千佳!ごめんごめん。早かったな(笑)」


「あ、きた!あんどー遅いよ〜!何やってたの?」


「うん?これ持ってきた」


そう言う安藤先生の手には傘があった。


「あ、そうなの」


「これ、使っていいよ!貸してあげる」


「えー、これ学校のやつでしょ〜?冬休み中に返しに来ないといけないし、濡れて帰るよ〜」


「違うわ!俺のだよ、俺の私物」


「え?うそ、なら尚更いいよ、あんどー濡れちゃうでしょ」


「なに言ってんの(笑)俺は車だし、家にも後1本あるから大丈夫だよ。だから使って?冬休み明けに返してくれればいいからさ。」


そういって、私に自分の傘を渡してくる安藤先生。


「本当ごめんね。本当に。ありがとう。」


「いいって!女の子はそうやって素直に甘えればいいの!じゃあ気をつけてな!」


「うん!ありがとう!じゃあね!」


そうして安藤先生の傘を持って私は学校を出る


でも、なんで自分の傘をわざわざ貸してくれたんだろう。あれだけたくさん学校の傘あるのに。期待しちゃうじゃん。本気で好きになっちゃうじゃん。


なんて思いながらもニヤけながら私は家へ帰る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る