第15話

誰にも会わないように駐輪場まで来た。


するとふと後ろから名前を呼ばれた。


「あれ?中田?」


振り返ると安藤先生だった。

あぁ最悪なタイミングだ。


「あ、あんどー。どうしたの?」


「いや、それは俺のセリフ。どうした?元気ないじゃん」


お見通しなのかな。でも黙っていよう。

これから死ぬんだ、いつも通り別れよう。


って思っているのに。なんでだろうね。

あんどーには嘘がつけないみたい。


「もうさ、疲れた。」


気づけば弱音を吐いていた。


「なに、どうしたの」


「怖いんだ、人が。昔、いろいろあって人が怖いんだよ。なにかひそひそ話してたり、笑ったりしてると自分のことが言われてるように思うんだ。

集団も苦手。全員が敵に見える。今、仲良くしてくれてる人だってどうせ心の中では嫌ってる。信じて!とかいう人に限って裏切るんだよ。私には居場所がない。生きてる意味がない。死んでも誰もなにも思わない。」


感情的になった私にあんどーは真剣な目をして話し始めた。


「まず最初に言わせてもらいたいんだけど、お前が死んだら少なからず俺は泣くよ。そして怒るよ。なんでそこまで1人で抱え込むんだよ。俺にぐらい頼れよ。って。信じてくれなんて言わないけどさ、こうして話してくれたこと、俺は嬉しい。だからこれからもお前が話したいと思ったらいつでも聞くから。だから言えよ。

それから、人が怖いのか。過去になにがあったか今すぐには話せないと思うから無理には聞かないけど、また人が怖くなって教室に行けないんだったら無理することはない。怖いものは怖い。だから無理することはないけど、一緒に少しづつ解決策を考えていこう。中田は独りじゃないから。大丈夫だよ。お前は独りじゃない。

だから死のうだなんて考えるな。わかったか?」


必死に涙を堪えながら、「わかった。ありがとう」

そういって私はまっすぐ家に帰った。



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