第10話

夏休みが始まってもう3週間。


バイトに追われながら、やっと3連休だ。


親友の絵里と遊ぶことになった。

もちろん、外へは行かず私の家にお泊りだ。


そろそろ来る頃かな。そう思っていると愛犬が吠える。

これは絵里が来たな。


そう。私の愛犬は本当に優秀な番犬。

知らない人が来ると吠えまくる。

時にもういい加減、私の友達くらい覚えてくれよ。って思うこともあるが、人懐っこい犬よりは番犬として優秀なほうがありがたい。


「お邪魔しまーす!」


「おーー!絵里~!久しぶり!元気だった?」


「千佳!久しぶり。元気だよ!千佳は?」


「うん。元気元気!」


「あ、そうそう(笑)LINEで何回か聞いてたけど、あの先生の話聞かせてよ」


「あ、そうだね(笑)話すわ。とりあえず部屋おいでよ!」


そう。絵里には早い段階からあんどーの話をしていた。

これは根掘り葉掘り聞かれるやつだな(笑)


「うん!行く行く!あ、そういえばおじさんとおばさんは?」


「あ、お父さんもお母さんも仕事でちょっと遅くなるって」


「そっか!じゃあ聞かせてもらおうかな(笑)」



部屋に上がれば満面の笑みを向けてくる絵里。

なにを期待してるんだ、こいつは(笑)






「それで?みんなには答えないのに千佳には出身地を教えてくれたわけね」


「そうそう(笑) まぁ多分もうこれ以上聞かれるのがめんどくさくて答えただけだと思うけどね!」


「まぁね。先生が生徒を好きになることはないと思うしね(笑)あ、でもあたしのゼミの子が夏休み中に学校行ったとき安藤先生に出身地のこと聞いたけど、内緒!っていわれたらしいけどね。相当落ち込んでたっけ(笑)」


「あ、そうなん?じゃあなんでかね(笑) ってかそんな安藤先生の出身地知りたいのかね?まぁ私も聞いた身だからなんとも言えないけどね。(笑)」


「確かにね。そんな気になるものじゃないけど(笑)千佳はなんで聞いたの?」


「いや、結構さ安藤先生のイントネーションおかしいからさ(笑)」


「そんなあたしっちと違うんだ(笑) そりゃ気になるよね」


「まぁね。でもそんな話聞くともっと優越感に浸りそうだよ(笑)」


「いや、浸るよな(笑) あたしが千佳の立場ならすごい浸ると思うよ」


まぁそりゃそうだよね。いいよね、優越感に浸っても。

でも、この調子で優越感に浸って期待するのも怖いな、なーんてね。


「あ、そうそう、千佳さ、安藤先生のこと好きでしょ」


「え?なんで?」


「あんたさ、安藤先生の話するときニヤけすぎ、楽しそうに話してる(笑)」


「そうかな?そんなことないら(笑)」


そう、この時はまだ気づいてなかった。

安藤先生のことを好きになっただなんて、思いもしなかった。


だって今まで生徒が先生のこと好きになるなんて漫画の中の世界だと思ってた。

バカにもしてた。でも、もうこの時は安藤先生にぞっこんだった

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