第9話

それから早いもので6月が過ぎて7月ももう中旬。


明日から夏休みになる。


私の高校はバイトをしていい学校なので、夏休みといってもみんなバイトで忙しいので宿題などはない。


だからもちろん授業を受けている数学、英語、現文、何ひとつ宿題がない。


ただ、もしやりたい人がいるなら。といって夏休み明けに行う単元の予習プリントは各授業でくれた。


もう私の心の中では、やっと人に会わずに済む!そのことだけしか考えていない。


あ、そうそう。あのテストから安藤先生とはよく話すようになった。


呼び方も「安藤先生」から「あんどー」に変わって距離はだいぶ近くなっていた。


こないだも先生の言葉のイントネーションが私たちと違うことから先生の出身地の話になった。ほかの生徒がどんなに聞いても「内緒~」と言って教えてくれないので、きっと教えてくれないんだろうな。なんて思いながらも駐輪場で会った時に、聞いてみた。


「ねぇ。あんどー。あんどーの出身地って静岡じゃないよね?」


「うん。違うよ。」


「じゃあどこなの~?」


「えーーっとね…」


「内緒!って言うんでしょ(笑)」


「言わないよ(笑) 海がないところ」


「海がないところなんて日本にある?」


「おい、ばか(笑) あるだろ!」


「そうなの? わかんないから教えてよ」


「長野県だよ」


「へー、長野県って海ないんだ。知らなかった。でもなんで静岡なの?」


「え?海が見たくなったの、泳ぎたくなった。(笑)」


「はぁ!?バカじゃん(笑) そんな理由で静岡来るの?」


「いや、ばかにバカって言われたくないわ!(笑)」


「いや、でもさ(笑)」


「でも、いいの。静岡いいところだし!楽しいからいいの」


「あ、そうなのね。あんどーがいいならいいんじゃない?(笑)」


「そうそう。いいのいいの。」


と、まぁこんな調子で先生だけど友達のような存在ができて、なんだかんだ楽しく学校にいけている。


でも、なんで出身地教えてくれたのかな?

あんなにみんなが聞いても教えないのにさ。

まぁ嬉しかったけどね。

変に優越感と特別感を感じてニヤけてきて自分でもおかしかった。




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