第9話 帰路

 「でも、なして橋だったんだべなあ。」

 封鎖された橋には大小あわせて70を越える爆弾がしかけられていた。

 「さあ。」

 「あんだけ火薬あれば旅客機を街に落とした方が効率いいぞ、たぶん。」

 誰が何の目的を持って仕掛けたものなのか。その調査は警察に委託されることになった。

 「大惨事を効率いいとか言うなよ、不謹慎だな。」

 俺たちは現場での引き継ぎを終えて、秋葉原へ帰るところだ。

 「みちるが居りゃどんな大惨事だって未然に防げるってもんだ。」

 「バーカ。そんなに都合いいもんじゃねーっての。」

 みちるは満更でもなさそうだ。任務が一段落して機嫌が良い。

 「飯食いに行っか。」

 「パス。勇と千夏と行ってくる。」

 さらりとかわされ、少し寂しい。

 「どら、金あんのか? 小遣いやるか?」

 「ある。いらね。」

 「どこ行くんだ? あんまりワガママ行って二人を困らすなよ? 9時には戻って来いよ?」

 勇も千夏もいい奴だ。みちるに取っては兄や姉とも言えるような友人だろう。

 「うるさい。帰れ。一人寂しくカップ麺でも啜ってろ。」

 そして父と言っても過言でない俺にはこの仕打ち。カップ麺はストックがある。ワンカップ買って帰ろ。涙は乾くものさ。

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