第8話 初めての予知

 うちは端末に叫んだ。

 「パースエイダー!!狙いは橋だ。 やつら、爆破して召喚する気だ!!」

 見える。聞こえる。臭いがする。火柱が。悲鳴が。焦げ臭い。足の力が抜ける。その場にへたりこんだ。

 「まにあわなかった……くっ。どうして、最初から疑わなかったんだ!? どうして、うちは、いつも…!!」

 「ヘイムダル。落ち着きなさい。間に合います。あなたが今みたのは《プレコグニション》でしょう。」

 端末からパースエイダーの声がする。うちの訓練不足で《プレコグニション》なんか使えるわけないのに、パースエイダーは気休めを言う。

 「ぷれ…? なんだ、それ 。」

 カミトキ、てめえは黙ってろ。

 「間に合うもんか! だってあんなに燃えて……ない。」

 燃えてない。悲鳴もない。焦げ臭くない。

 「《感覚強化》の予知能力です。ヘイムダル、どこの橋かわかりますか?」

 まさか本当に予知能力が使えたのか? でも今は喜んでいられない。

 まだ間に合うなら急がないと。

 「大きなつり橋、ワイヤーが…7。あ?違う、倍だ。かなりの交通量、片側3車線。近くに高速道路もある。空港と海にも近いと思う。」

 みた情景を整理しながら端末ごしにパースエイダーに伝える。何やら向こうもバタついてる。

 カミトキがひらめいた顔をした。

 「まん中の支柱がAみたいな形の?」

 「そう! 知ってんの?!」

 「おう。行くぞ、みちる。」

 カミトキの手がうちの頭に乗る。通り魔的にワシャワシャっと撫でられた。

 「大丈夫だ、お前はいつもうまくやってるべや。」

 すれ違い様に聞こえた声色は強く優しい響きだった。

 小癪な。

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