第7話 第六感

俺はため息を吐いた。

 「みちるも反抗期かあ。そんなに大きな声出せるようになったんだなあ。俺も年取るわけだわ。」

 しみじみと噛み締める。

 「冷たくて軽くてちまっこかったあの赤ん坊も今は昔ってか? いやあ、育てたかいがあったてもんだわ。」

 反抗期真盛りはむすっと俺を睨みつける。だが俺は知っている。俺以外の大人にはこんな態度はとらない。最近では丁寧語を心がけているようだ。

 変色している辺に着くとみちるはマスクを鼻が出るように下げて確認するように嗅ぐ。

 「近づくと余計くせぇわ。なんのにおいだ?」

 俺はその臭いに思わず顔をしかめ、腕をあげて肩で顔を覆う。

 「うっへ。くっさいのは俺にもわかるぞ。妙なにおいだ。甘くて酸っぱくて、渋くて喉に刺さる。あんまり吸うなよ。」

 ああ、またやってしまった。みちるは大人になろうとしているのに。これはまた怒鳴られるぞ。

 「あのさ、カミトキ。」

 以外と怒鳴らない。ああ、そう言うキレ方でくるのか。

 「どう思う? 」

 キレない。

 「なした。いつもの“わかってるっつーの”じゃないんか。」

 「うるせ、一時休戦だ。」

 みちるはマスクの位置を直して都心の方角を見据えた。

 ネフィリムが好む場所には共通点がある。軍事施設や陰鬱な雰囲気をまとった空間。そして人間が一度に大量に死ぬような現場。

  この静かな開けた河川敷にはそんな要素は少ないように見えた。

 「うちの勘なんだけど、たれ込みも、この灰みたいな草も全部フェイクで、車どおりの多い橋とか落としてネフィ―。」

 みちるは目を見開いて固まった。そのまま

焦った様子で端末を手にとり、叫んだ。

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